シャスポー | ……このあたりで間違いないな。 周囲に敵影は? |
タバティエール | こっちは問題なしだ。お前の心配は わかるが、二重スパイの罠…… っていう線はなさそうだな。 |
ドライゼ | だが、用心するに越したことはない。 ……受け渡し場所はこっちだな。 行こう。 |
| ──ガサッ。 |
ローレンツ | ひゃわわっ! |
レジスタンスの諜報員 | 驚かせてすまない。 すぐに基地に戻らなければいけないから、 着替える余裕がなかったんだ。 |
レジスタンスの諜報員 | 長く持ち場を離れては怪しまれる。 手短に伝えるが…… あなたが、貴銃士たちのマスターだな。 |
レジスタンスの諜報員 | 来てくれて助かった。 あなたにこれを託したかったんだ。 |
シャスポー | ……何だい? このちっぽけな木箱が 極秘情報だって言うのか? |
レジスタンスの諜報員 | ああ。開けてみてくれ。 ……絶対に、中のものに 手を触れないようにな。 |
タバティエール | ん……? 〇〇ちゃん、 これが何か知ってるのか? |
ローレンツ | ルビーとか、宝石……ではないですよね。 なんだろう……見ているとぞわぞわする……。 何ですかこの赤い石……。 |
レジスタンスの諜報員 | 君の感覚は正しい。 この結晶に触れた人間は、 全身から血が噴き出し──。 |
レジスタンスの諜報員 | 一様に、恐怖と苦痛の表情を浮かべて、 ことごとく死ぬそうだ。 |
ローレンツ | ひえぇっ! そ、そんなものを なんで〇〇さんに 渡すんですかっ!? |
タバティエール | ローレンツ、落ち着け。 そんな話、聞いたことがあるぞ。 ──確か、カトラリーくんが言っていたな。 |
タバティエール | 軍の奴らが戦場跡地で探し回ってるってのは まさかこの石のことか? |
レジスタンスの諜報員 | ……そうだ。軍の研究者たちは、 これを『アリノミウム結晶』と呼ぶ。 |
レジスタンスの諜報員 | 世界帝軍は、ある極秘の研究のために 結晶の収集を続けてきた。 |
ドライゼ | 極秘の研究…… それがマスターと関係があると? |
レジスタンスの諜報員 | ああ。この結晶に触れた人間は まず間違いなく死ぬが…… ごく稀に、例外がいる。 |
シャスポー | ……! まさか……!? |
レジスタンスの諜報員 | 石に触れながらも生き残り、 力を得た稀有な存在──それが、あなただ。 |
全員 | ……!! |
ローレンツ | ……って、〇〇さんも びっくりしてるじゃないですかぁ……! |
レジスタンスの諜報員 | あなたが知らなかったのも無理はない。 普通は死ぬなんて、 試さなければわからないことだ。 |
レジスタンスの諜報員 | そして、問題はここからだ。 軍では新たな「マスター」を生み出すため、 人工結晶を作る研究を進めている。 |
タバティエール | おいおい……成功したところで、 触れたらどうせ死んじまうんだろ。 |
シャスポー | 奴らにそんなことを気にする善良さが あるとでも? 「マスター」を作れるまで、 際限なく試すだけだろう。 |
レジスタンスの諜報員 | ああ。もし研究が成功し、 「マスター」適合者が現れたら…… 戦況が悪化することは間違いない。 |
レジスタンスの諜報員 | それだけはなんとしても阻止しなければと、 こうして盗み出したんだ。 |
ドライゼ | よくやってくれたな。 敵地での危険な任についている君に、 最大の感謝と賛辞を送る。 |
レジスタンスの諜報員 | へへっ。それじゃ、俺は戻るよ。 また何か情報があれば伝え── |
レジスタンスの諜報員 | ぐあ……っ!! |
シャスポー | 〇〇、伏せろっ! 全員木の陰に隠れるんだ! |
ドライゼ | 狙撃手か! 一体どこから……。 |
ファル | 見えたところで、あなた達古銃には 手を出せない距離ですよ。 ふふ、さすがはアインス。見事な狙撃ですね。 |
ローレンツ | せ、世界帝軍!? そんな、確認したときは いなかったのに……っ!? |
エフ | 最初から待ち構えてたら、 いくらアンタ達が間抜けでも勘付くでしょ? |
ファル | 楽しいお喋りの間に距離を詰めたんですよ。 ……また会いましたね、 レジスタンスのマスターさん。 |
ファル | 泳がされているとも知らず、 あなたのところへ案内してくれた 哀れな彼にお礼を言わなくては。 |
ファル | まぁ、言ったところで、 彼にはもう聞こえませんか。 ふふっ……。 |