イベント/愛しい君に、光あれ/エピソード

Last-modified: Tue, 26 Feb 2019 01:45:36 JST (1900d)

第1話 世界帝軍の秘密 Edit

+  ネタバレ注意
レジスタンスの諜報員…………。
レジスタンスの諜報員……これが、例の“赤い石”か。
レジスタンスの諜報員なんとしても、彼らに届けなければ……!

 

ドライゼああ、〇〇。
作戦を終えて、ただいま帰還した。
ローレンツ今回は俺、怪我しなかったんですよぉ!
少しは成長してるってことですかね……!
タバティエールははっ、良かったなローレンツ。
他の奴らも大したことないぜ。
作戦が首尾よく進んだんでな。
タバティエール手当てが必要なのはシャスポーくらいだろ。
近接戦でナイフが掠ってたからな。
シャスポーおい、タバティエール!
余計なことを言うな。
僕は一番戦果を上げたんだ。
シャスポーなのにこれぽっちの怪我なんだからな。
僕みたいに高性能で鍛錬も積んでいる
貴銃士じゃなきゃ、こうは──。
タバティエールへいへい、シャスポー様。
〇〇ちゃん、
こいつの手当て頼めるか?
シャスポー〇〇、
僕はこれくらい平気なんだよ?
シャスポーでも……そうだね。
君がそう言うなら、治療をお願いするよ。
シャスポーふふ……僕、君に手当てされるのは
大好きなんだ。君の手からは、
優しさと温かさが伝わってきて……。
シャスポー……あれ? 〇〇、
もしかして……疲れてる?
シャスポーいや……
いつもならこれくらいの怪我、
ぱっと治しちゃうでしょ。
シャスポー今日は時間がかかってる
みたいだから……。
シャスポー……ううん、このへんで大丈夫だよ。
あとは自然と治るからさ。
シャスポーでも、〇〇の手の傷は
どんどん治ってきてるみたいでよかった。
シャスポー君が痛い思いや苦しい思いをするのは、
僕、見たくないからね。
シャスポーさ、今日はゆっくり休んで。
部屋まで送るよ。
ドライゼ…………?

 

恭遠・グランバードみんな、遅くにすまない。
世界帝軍に潜入している諜報員から
連絡が入った。緊急の任務を頼みたい。
ドライゼ……詳しく聞こう。
恭遠・グランバード軍の研究施設から、
トップシークレットに該当するような品を
入手したそうだ。
恭遠・グランバードそれが何かによっては、
レジスタンスが勝利するための
大きな切り札になるかもしれない。
恭遠・グランバード受け渡し役が必要なんだが……
そこまで重要なものとなると、
任せられるのは君と貴銃士くらいだ。
恭遠・グランバード昼に戻ったばかりのところをすまないが、
君たちが行ってくれるだろうか。
恭遠・グランバードあいにく他の貴銃士は出払っていて、
早い隊でも戻るのは明日の朝なんだ。
ローレンツは、はい! 俺は大丈夫です。
シャスポー僕も異論ないよ。
戦況を変える可能性があるほど
重要な情報なら、なんとしても得るべきだ。
恭遠・グランバード〇〇、皆、ありがとう。
俺は引き続き、諜報員からの情報を待つ。
何かあればすぐに連絡するよ。
タバティエール……さてと。
それじゃ、急いで準備しますかね。

第2話 『赤い石』 Edit

+  ネタバレ注意
シャスポー……このあたりで間違いないな。
周囲に敵影は?
タバティエールこっちは問題なしだ。お前の心配は
わかるが、二重スパイの罠……
っていう線はなさそうだな。
ドライゼだが、用心するに越したことはない。
……受け渡し場所はこっちだな。
行こう。
──ガサッ。
ローレンツひゃわわっ!
レジスタンスの諜報員驚かせてすまない。
すぐに基地に戻らなければいけないから、
着替える余裕がなかったんだ。
レジスタンスの諜報員長く持ち場を離れては怪しまれる。
手短に伝えるが……
あなたが、貴銃士たちのマスターだな。
レジスタンスの諜報員来てくれて助かった。
あなたにこれを託したかったんだ。
シャスポー……何だい?
このちっぽけな木箱が
極秘情報だって言うのか?
レジスタンスの諜報員ああ。開けてみてくれ。
……絶対に、中のものに
手を触れないようにな。
タバティエールん……?
〇〇ちゃん、
これが何か知ってるのか?
ローレンツルビーとか、宝石……ではないですよね。
なんだろう……見ているとぞわぞわする……。
何ですかこの赤い石……。
レジスタンスの諜報員君の感覚は正しい。
この結晶に触れた人間は、
全身から血が噴き出し──。
レジスタンスの諜報員一様に、恐怖と苦痛の表情を浮かべて、
ことごとく死ぬそうだ。
ローレンツひえぇっ! そ、そんなものを
なんで〇〇さんに
渡すんですかっ!?
タバティエールローレンツ、落ち着け。
そんな話、聞いたことがあるぞ。
──確か、カトラリーくんが言っていたな。
タバティエール軍の奴らが戦場跡地で探し回ってるってのは
まさかこの石のことか?
レジスタンスの諜報員……そうだ。軍の研究者たちは、
これを『アリノミウム結晶』と呼ぶ。
レジスタンスの諜報員世界帝軍は、ある極秘の研究のために
結晶の収集を続けてきた。
ドライゼ極秘の研究……
それがマスターと関係があると?
レジスタンスの諜報員ああ。この結晶に触れた人間は
まず間違いなく死ぬが……
ごく稀に、例外がいる。
シャスポー……!
まさか……!?
レジスタンスの諜報員石に触れながらも生き残り、
力を得た稀有な存在──それが、あなただ。
全員……!!
ローレンツ……って、〇〇さんも
びっくりしてるじゃないですかぁ……!
レジスタンスの諜報員あなたが知らなかったのも無理はない。
普通は死ぬなんて、
試さなければわからないことだ。
レジスタンスの諜報員そして、問題はここからだ。
軍では新たな「マスター」を生み出すため、
人工結晶を作る研究を進めている。
タバティエールおいおい……成功したところで、
触れたらどうせ死んじまうんだろ。
シャスポー奴らにそんなことを気にする善良さが
あるとでも? 「マスター」を作れるまで、
際限なく試すだけだろう。
レジスタンスの諜報員ああ。もし研究が成功し、
「マスター」適合者が現れたら……
戦況が悪化することは間違いない。
レジスタンスの諜報員それだけはなんとしても阻止しなければと、
こうして盗み出したんだ。
ドライゼよくやってくれたな。
敵地での危険な任についている君に、
最大の感謝と賛辞を送る。
レジスタンスの諜報員へへっ。それじゃ、俺は戻るよ。
また何か情報があれば伝え──
レジスタンスの諜報員ぐあ……っ!!
シャスポー〇〇、伏せろっ!
全員木の陰に隠れるんだ!
ドライゼ狙撃手か!
一体どこから……。
ファル見えたところで、あなた達古銃には
手を出せない距離ですよ。
ふふ、さすがはアインス。見事な狙撃ですね。
ローレンツせ、世界帝軍!?
そんな、確認したときは
いなかったのに……っ!?
エフ最初から待ち構えてたら、
いくらアンタ達が間抜けでも勘付くでしょ?
ファル楽しいお喋りの間に距離を詰めたんですよ。
……また会いましたね、
レジスタンスのマスターさん。
ファル泳がされているとも知らず、
あなたのところへ案内してくれた
哀れな彼にお礼を言わなくては。
ファルまぁ、言ったところで、
彼にはもう聞こえませんか。
ふふっ……。

第3話 暗闇の中へ Edit

+  ネタバレ注意
エフさあ、兵士ちゃんたち!
あいつらを生け捕りになさい!
兵士たちはっ!
シャスポー僕が足止めする。
マスターを連れて逃げるんだ!
兵士たちぐああああぁっ!!
シャスポーふん。
お前たちなんかが〇〇に
手出しできると思うなよ。
タバティエールおい、シャスポー!
こっちだ!
ローレンツあ! そこ、見てください!
吊り橋がありますよ!
タバティエールよし、渡った後で橋を落とそう!
そうすればあいつらも追って来られない。
シャスポーああ、急ぐぞ!
〇〇、僕の手に掴まって!
ドライゼ……!
いけない! 縄が……!
──ブチッ!
タバティエール……ッ!?
全員うわあぁぁああぁぁ──っ!!

 

エフちょっと!
あいつらはどこ行ったのよ!?
兵士Aそ、それが……
吊り橋の縄が切れて、
谷底の川に落下したようです!
ファルはぁ……
「生け捕りにしろ」と命令したのが
聞こえませんでしたか?
ファルこの高さでは、古銃はともかく
「マスター」が無事か怪しいものですよ。
エフったく……!
これだから愚図は嫌なのよ。
そんなにお仕置きされたいわけ?
兵士たちひっ!
ファルエフ。お仕置きはあとにしなさい。
まずは彼らを探しますよ。
エフはぁーい。

第4話 水辺の目覚め Edit

+  ネタバレ注意
シャスポーう……に……ろ……。
マス、タ……。に、げ……。
シャスポーはっ……!
〇〇!?
……………………。
タバティエール……う……。
シャスポー……!
おい、タバティエール! 死ぬな!
タバティエールん……?
シャスポー、か……。いてて、
起こすなら傷のないところをだな……。
シャスポーお前は大丈夫だろう!
そんなことより、〇〇は!?
〇〇は無事なのか!?
シャスポーああああ!
僕が……僕が〇〇の手を
もっとしっかり掴んでいれば……!!
タバティエール落ち着け、シャスポー。俺達がこうして
貴銃士の姿のままでいるからには、
〇〇ちゃんは無事だ。
タバティエール無傷……かはわからねぇし、心配だが、
少なくとも命に別状はないはずだ。
タバティエールここで俺達が慌てたって何にもならねぇ。
そうだろ?
タバティエール敵に見つからないように、
早く皆と合流する──それが、
俺達が今やるべきことなんじゃねえか。
シャスポー…………。
言われなくてもわかっている。行くぞ!

 

ローレンツうう……。
あいたたた……。
ローレンツ……あれ、ここどこだっけ?
なんで俺ひとりで……。
ローレンツあ……そうだ。
吊り橋が落ちて、川に……。
ローレンツ皆は……
〇〇さんは大丈夫かな……。
ローレンツうう……、
俺ひとりでどうすれば……。
ローレンツ…………っ。
ローレンツ……って、めそめそしてたって
どうしようもないんだ……!
ローレンツまずは深呼吸して──すぅー、はぁー。
よし! 皆を探すぞぉ……!

 

ローレンツはぁ、はぁ……けっこう歩いたのに、
誰も見つからないな……。
ローレンツこれってもしかして、遭難……。
──ぐぅ。
ローレンツうぐ……。お腹空いたなぁ……。
昨日の昼から何も食べてないんだっけ……。
ローレンツ……あれ?
なんだろう……
香ばしい、いい匂いが……。

第5話 再会 Edit

+  ネタバレ注意

第5話 再会
 

ドライゼはふっ……、
うん、中までよく火が通っている。
食べて問題なさそうだ。
ドライゼさあ、マスター。腹が空いているだろう。
遠慮せずどんどん食べてくれ。
ドライゼ熱いから、火傷しないように
気をつけるんだぞ。
骨を飲み込まないように注意して──。
ドライゼ食べる前に、ヒレを取っておくといい。
硬い小骨も一緒に取れるからな。
ドライゼ……美味いか。それはよかった。
足りなければまだまだ獲ってくるぞ。
ドライゼなに、濡れるくらい平気だ。
こうして
焚き火に当たっていればすぐに乾く。
ドライゼあなたも、日が出ている内に
しっかり服を乾かしておくといい。
夜は冷えそうだからな。

 

ドライゼもうすぐ日が暮れる。
今のうちにもう少し焚き木を集めておこう。
ドライゼ……あの時、
川に流されていくあなたを見たときは、
心が凍りついたような心地だった。
ドライゼ俺が……あの吊り橋について
事前に調べておけば……。
ドライゼ……いや、だが川に落ちたことで
敵の手から逃れられたという面も……。
ドライゼ……!
マスター、大丈夫か?
顔色があまりよくないぞ。
ドライゼ……身体が冷えているな。
すまない、もっと早く気付くべきだった。
ドライゼ向こうに手頃な洞窟があった。
そこなら風をしのげる。
火を焚いて温まろう。
──ガサッ。
ドライゼ……!
〇〇、危険だ。下がってくれ。
ドライゼ音の正体を確認してくる。
あなたは俺の後ろに──
ローレンツ〇〇さぁぁぁん!
ドライゼさぁぁぁん!!
ドライゼうおっ! ロ、ローレンツ……!?
ローレンツおふたりとも無事で……ううっ……
良がっだぁぁ……っ!

第6話 絡み合う思惑 Edit

+  ネタバレ注意
ホクサイやあやあ! 進捗はどうだい?
増援を連れてきたよ~。
ファルああ、ありがとうございます。
少し困ったことになりましてねぇ。
人手が増えると助かりますよ。
ゴーストんで、古銃の奴らはどこ行ったん?
エフそれがねー。
アタシたちから慌てて逃げようとして、
オンボロ吊り橋ごと落ちちゃったのよ。
エフ死体は上がってないから、
古銃ちゃんもあっちのマスターも
逃げてるんだと思うけど……。
ファル下流の広い範囲を捜索する必要があるので、
なかなか厄介でして。
ファル街へ通じる全ての道は封鎖していますから、
じわじわと包囲網を狭めれば
そのうち捕縛できますが……。
ファルもしかすると、
このあたりに潜んでいるかもしれませんね。
ゴーストん? なんやそこ。
地図になーんも載ってへんけど、空き地か?
ファル廃村ですよ。
数年前までは人もいたそうですが、
今は無人になっています。
ファル廃屋ばかりとはいえ、雨風はしのげますし、
日用品や保存食が残っている可能性も
ありますからねぇ。
ファルマスターを連れて山中を逃げ回るよりは、
隠れ潜んで救援が来るのを
じっと待つのではないかと。
ホクサイなるほどね~。
うんうん、いいんじゃないかい?
ホクサイもしそこで見つからなくても、
正攻法で山狩りすればいいだけだしね~。
エフじゃあ決まりね♪
兵士ちゃんたちは1小隊ついてきなさい。
残りは下流をくまなく探すのよ!
兵士はっ!

 

タバティエールおーい、シャスポー。
印があったぞ。こっちだ。
タバティエールいやぁ、ドライゼには恐れ入るねぇ。
こんな時のために、
木につける印まで決めといて助かったよ。
シャスポーふん。あいつの狡猾さも
たまには役立つわけだな。
タバティエールやれやれ……「狡猾」じゃなくて、
そこは「万全の備え」だろ?
タバティエール……おっ!
シャスポーああ、〇〇っ!
大丈夫だった!? 怪我はない!?
シャスポー君のそばにいられなくて、本当にごめんね。
でも、僕が来たからにはもう大丈夫だよ。
シャスポー次はたとえ気を失ったとしても、
〇〇の手を
離したりしないから……。
タバティエールはは、感動の再会だねぇ。
ドライゼ、こっから先はどうするんだ?
ドライゼそうだな。
昨夜の内に俺達が戻らなかった時点で、
恭遠は何かがあったと悟っているだろう。
ドライゼ今朝には他の貴銃士も帰還しているから、
既に捜索隊が出されているはずだ。
タバティエール受け渡し場所の近くで、落ちた吊り橋を
見つけたら……おおよその範囲は
察してくれるかもしれねぇな。
ドライゼああ。だが、俺達の居場所を絞り込むのは
至難の業だ。森の中に潜んでおくのが
一番リスクが少ないが……。
ドライゼある程度見つけやすい場所にいた方が、
結果的に早く仲間と合流できて
安全かもしれない。
タバティエールなるほどな、それで廃村のそばまで
来てたのか。奴らがいないか
周辺を見て回って、それから──。
???おい、いたぞ!
レジスタンスだ!
ローレンツはわわわっ、
せ、世界帝軍です……!
ドライゼしまった、見抜かれていたか……っ!
木の陰に隠れながら逃げるぞ!
シャスポー〇〇、僕の手に掴まって!
行くよ!

第7話 交戦 Edit

+  ネタバレ注意
ローレンツはぁっ、はぁっ……
ダメです……逃げられません……!
ドライゼ……交戦するしかなさそうだ。
皆、いけるか?
シャスポー僕は、〇〇を守りながら
突破点を探る。
タバティエールおう。援護するぜ。
エフさ、行くわよ、兵士ちゃんたち!
次に失敗したら……わかってるでしょうね?
兵士たちは、はいっ!
エフレジスタンスのマスターを捕縛、
貴銃士は1人か2人くらい殺しちゃっても
構わないわ。おやりなさい!
タバティエール……だってよ?
ま、簡単にやられるつもりは
毛頭ないけど、なっ!
兵士たちがあぁぁっ!!
シャスポー僕がマスターに手出しさせるとでも思った?
──失せなよ。
兵士たちぎゃあああっ!!
シャスポーよし、道が開いたぞ!
皆こっちに来──
ファル……と見せかけて、
こちらの思い通りに行動させる。
ふふ……戦術の基本ですよ?
シャスポー〇〇っ!!!
シャスポーぐ……ぁああっ!!
ファルおや、関節に当たってしまいましたか。
貴銃士といえど生半可な苦しみでは
なさそうですねぇ。可哀相に。
タバティエール〇〇ちゃん!
シャスポー!!!
エフあなたの相手はアタシよ♥
タバティエール退け!!!
エフきゃああっ!

 

ローレンツ〇〇さん、
〇〇さんっ!
しっかりしてください!
ローレンツ血が……!
とにかく止血しないと!

 
第7話 交戦
 

──ビリィッ!
ローレンツ……よし!
これで止血帯に使える!
ローレンツ〇〇さん、
ここでぎゅって縛りますよ!
ローレンツ痛いと思いますけど……すみませんっ!
ドライゼ俺が道を開く!
ふたりはマスターとシャスポーを頼む!
タバティ&ローレンツおう!
はいっ!
ファルそう簡単に逃がすとお思いで?
ドライゼ止められようが押し通るまでだ!
ファル……チッ、スモーク弾か。
撃ち方止め!
「マスター」の生け捕りが再優先事項です。
ファル視界が晴れてから痕跡を追います。
いいですね?
兵士たちはっ!

第8話 薔薇の傷 Edit

+  ネタバレ注意
ローレンツ〇〇さん、傷を見ますね。
……よかった。血は止まってます。
タバティエールシャスポー、ゆっくり下ろすぞ。
シャスポーぐ……ッ!
……、う……っ!
タバティエール雨で足跡も消えて追って来られないはずだ。
俺は逃げ道がないか探して、
可能なら応援を呼びに行く。
タバティエールその前に奴らが来るようなら、
俺のことは気にせず場所を移せ。いいな?
ドライゼ……承知した。
だが、無理はせず戻ってきてくれ。
ひとりでも多く戦力がほしい。
タバティエールおう、わかってるさ。
シャスポーく……、うっ……ぐ、ああ……っ!
ローレンツシャ、シャスポーさん!
大丈夫ですか!?
しっかりしてください!
ドライゼむ……出血が多すぎる。マスター、
すまないが、治療を頼めるだろうか。
シャスポーご、めん……ね、〇〇……。
心配、かけて……。
シャスポーでも、僕……すぐにまた、戦えるから……。
ローレンツあ、あれ……傷、が……。
ローレンツ治、らない……?
ローレンツそ、そんな……!
こんなこと今までなかったのに……っ!
ドライゼ……いや。昨日の朝もそうだった……。
シャスポーの傷を治すのに、
これまでになく時間がかかっていた。
ローレンツ怪我してるから、〇〇さんの
力が弱まっているんでしょうか……!?
ドライゼいや、昨日の朝は──
ドライゼ……!!
ドライゼマスターの手の甲……
薔薇の傷がほとんど治りかけている!
そうか、そういうことだったのか……。
ドライゼ力の根源がこの傷ならば、治ると同時に
マスターとしての力も失われるんだ……!
ローレンツええ!? そ、そんなぁ……!
それじゃあ一体
どうすればいいんですか……!?
シャスポー……っ、……〇〇!
ねえ、〇〇、どこにいるの!?
ドライゼシャスポー……!?
動くんじゃない! 出血が増えるだけだ!
シャスポーうぅっ……寒い……!
〇〇……ねえ、手を握ってよ。
〇〇……っ!
ローレンツシャスポーさん、顔が真っ青ですよ!
ドライゼ……まずい。失血で意識が混濁している。
ローレンツ、お前は脚を押さえろ。
止血するぞ!
ローレンツで、でも、脚にはまだ弾が……!
ドライゼかまうな! いくぞ!
シャスポー……っ、ぐああぁぁああぁっ!!!
ローレンツごめんなさい……、ごめんなさい……っ、
シャスポーさん……っ。
ドライゼすまない、シャスポー。
だが、今はこうするしか……。
あなた…………っ!
ローレンツ〇〇、さん……?
一体何を……。
ドライゼ結晶で力を取り戻す、だと……?
……っ、だめだ、〇〇!
あまりに危険すぎる!
ローレンツそ、そうですよ!
それに触れた人は死んじゃうって
聞いたじゃないですかぁ!
ローレンツ1回は大丈夫でも、
2回目まで無事とは限らないんですよお!?
ローレンツお、俺、〇〇さんが
死んじゃったらいやです……!!!
シャスポー〇〇……だめだ……。
シャスポー……っぐ、……やめて、よ、
おねがい、だから……。
シャスポー僕のために、じぶ……犠牲にする、
なん……て、いや、だ……!
ドライゼ……っ。〇〇、頼む。
その箱を置いてくれ。
ドライゼローレンツの言った通りだ。
今回も大丈夫という保証はどこにもない。
ドライゼ結晶に触れた瞬間、あなたは
死んでしまうかもしれないんだぞ……!!
あなた…………。
ドライゼ…………。
………………。
ドライゼ…………あなたの意志は、
揺らがないのだな。
ドライゼならば……
俺は、あなたの貴銃士として、
その意志を受け入れよう。
ローレンツえっ……ドライゼさん!?
そんな……
駄目ですよ、〇〇さんっ!
シャスポーうぐっ……いやだ……
やめて、〇〇……っ!
ドライゼシャスポー、ローレンツ……
〇〇を信じよう。
俺達のマスターを。
シャスポーいやだ……! やめてよ!
……〇〇──っ!!!
──パリンッ!

第9話 シャスポーの誓い Edit

+  ネタバレ注意
タバティエールチッ……こっちも駄目か。
完全に包囲されてやがる。
軍の奴らも本腰入れてきたってことかねぇ。
タバティエール万事休す……には早いが、
どうすれば……ッ。
???……あ、おった!
タバティエールさん!
タバティエール……クニトモくん!?
どうやってここまで来たんだ!
包囲網を崩せたのか?
クニトモいや。ボクは向こうの洞窟から
抜け道を通ってここまで来たんよ。
クニトモ〇〇さんたちがどこにおるか
わからへんから、貴銃士総出で
まずは捜索してたんや。
タバティエールそうか……。とにかく助かった。
その抜け道ってのは、
俺達全員で逃げられそうなやつか?
クニトモ小柄な人やないと無理やと思う。
岩の間をなんとかくぐってきたけど、
ギリギリやった。
クニトモあと、洞窟の低い場所は水が溜まってて、
潜らなあかん。
〇〇さんは息が続くか……。
タバティエール〇〇ちゃんは
怪我を負ってるんだ。
助けがくるまで凌ぐしかないな……。
クニトモとにかく、ボクは皆のとこ戻って
状況を知らせてくるわ。
タバティエールクニトモくん。もう1つ頼まれてくれるか?
この地図……
手描きなんで見づらくてすまんが……。
タバティエールここだ。
……応援が来る前にまた戦闘になったら、
〇〇ちゃんをここに隠す。
タバティエールいつものノックと、合言葉がない限り
絶対返事をしないように
〇〇ちゃんには言っておく。
タバティエール戻ったら、真っ先にここへ行ってくれ。
いいかい?
クニトモうん、任しとき。
それで、合言葉は?
タバティエール『Que la lumière soit』
──光あれ、って意味だ。
クニトモわかった。
全速力で皆を集めて、
絶対助けに行くからな!

 

ドライゼ……ああ、タバティエール、戻ったか。
周囲の様子はどうだった。
タバティエール高台から確認してみたが、一帯をぐるっと
軍が囲んでる。抜け出すのは無理そうだが、
いい知らせもあるぜ。
タバティエール斥候のクニトモくんと会ったんだ。
明日の朝には隊を整えて助けが来る。
タバティエールただ……
包囲してる軍の奴らを突破するには
それなりに時間がかかるだろうな。
ドライゼ敵は夜明けを待って
畳み掛けてくるはずだ。
応援の到着が間に合うかどうか……。
ドライゼともあれ、勝利条件は決まった。
明日の昼頃まで俺達がマスターを死守する。
……文字通り、な。
タバティエール……おう。
……それで、〇〇ちゃんは?
シャスポー……こっちだ。今は、深く眠ってる。
タバティエール…………。
おいおい……
俺がいない間に何があったんだ?
シャスポー僕のせいだ……
僕があんな怪我なんかしたから……。
シャスポー僕が……〇〇を
追い詰めてしまった……!
ローレンツシャスポーさん……。
ドライゼ……マスターは、
シャスポーを治癒する力を失った。
それで、再びあの結晶に触れたんだ。
タバティエール何だって……!?
シャスポー〇〇を苦しませるくらいなら、
僕があのまま壊──
タバティエールシャスポー!!
シャスポー……っ!
タバティエール……悪い。俺が言いたいのは……
お前が思っているように、
〇〇ちゃんもお前が大切で……
タバティエールだからこそ、身を挺してでも
助けたかったんだろ。その気持ちを、
他でもないお前が否定するのはよせ。
タバティエール……傷、
治してもらえてよかったじゃねえか。
タバティエールこれでまた、
〇〇ちゃんのために戦える。
……そうだろ?
シャスポー…………。
……ああ。
シャスポー……もう2度と。
絶対、誰にも……〇〇を
傷付けさせたりなんかしない。

第10話 いつかまでのさよならを Edit

+  ネタバレ注意
──チチチッ、ピヨピヨピヨ
あなた…………?

 
第10話 いつかまでのさよならを
 

シャスポーおはよう、〇〇。
シャスポーごめんね……。
こんな、暗くてじめじめしたところに
君を閉じ込めて。
シャスポーでも、どうかわかってくれると嬉しいな。
君を守るためだ……って。
シャスポーレジスタンスから応援が来るまで……
僕たちがなんとか時間を稼ぐから。
シャスポー……だから、ごめんね?
少しの間ここで我慢していてね。
シャスポー……ううん。
君を戦場に連れていくことはできないよ。
君を危険な目に遭わせるわけにはいかない。
シャスポー心配しないで、〇〇。
戦いなんてすぐに終えて、
迎えに来るからね。
シャスポー……もし。
……もし、僕たちが来られなくても、
誰かがきっと来るから。
シャスポー右側に横穴があるでしょ?
いつものノック音と、合言葉──
『Que la lumière soit』が聞こえるまで、
シャスポーそこに隠れているんだよ。
他の人が来ても絶対に返事をしないで。
いい?
シャスポー……僕の名前を呼んでくれるのは
嬉しいけど、ダメだよ。
静かにしていなきゃ。
シャスポーそれじゃあ……行ってくるね。
シャスポーね、〇〇。
ずっとずっと……愛してるよ。
シャスポー……Au revoir.

 

ホクサイただいま~。今のところ、
包囲網に引っかかったレジスタンスはナシ!
ホクサイふぃ~。
山道歩き回って、ボクちゃんヘトヘトだよ。
それで、こっちはどう?
ファル特に動きはありませんね。
昨夜は大雨で痕跡も追えませんでしたし……
運だけはいいですよね、彼ら。
ファルしかし、それも今日でお終いです。
包囲網にかかっていない以上、
彼らはこの一帯に間違いなくいます。
ファル北と東は山、それも切り立った崖ですから、
マスターを連れて逃げることは
ほぼ不可能……。
ファル南から西に配置した兵を
山側へじわじわと進めていけば、
自ずと彼らを追い詰められます。
ゴーストあんさんらしいねっちょりした案やな……。
せやけど、山の方にも
一応誰かおった方がええやろ。
ゴーストワイは存在感ないからな……
ひっそり待ち構えといて、もしあいつらが
山登り始めたら追い返したるわ。
エフウフフ……頼んだわよ、ゴースト。
ゴーストおー。……ワイみたいなどマイナーを
貴銃士にしてくれたあの人のためや。
気張ってくで。

第11話 決戦 Edit

+  ネタバレ注意
タバティエールやれやれ。
また雲行きが怪しくなってきたな。
火薬が湿るのは御免だぜ。
タバティエール……お、シャスポー。
〇〇ちゃんは
目を覚ましたのか?
シャスポー…………。
ああ。合言葉を伝えておいた。
タバティエールそうか。
……んじゃ、俺達は戦場に行きますかね。
ドライゼ……ああ。
ローレンツはい……!
タバティエール…………。
なあ、シャスポー。ひとついいか?
シャスポー……なんだ。
タバティエール俺も簡単にやられる気はないが……もし俺が
戻れなかったら、〇〇ちゃんに
伝えてくれないか。
タバティエール“幸せになれよ”ってさ。
……〇〇ちゃんは、妙な石を
拾って力を手に入れたばっかりに、
タバティエール貴銃士なんてよくわからねぇ存在を背負って
戦いに生きることになっちまった。
タバティエール大変だった分、
いつかは誰よりも幸せになってくれねぇと、
割に合わないだろ?
シャスポー…………ふん。
なんで僕がお前の伝言係なんか
しなきゃならないんだ。
シャスポー言いたいことがあるなら、
帰って自分の口で言えよ。
タバティエールへっ、……つれないねぇ。

 

兵士前方建物付近に人影あり!
レジスタンスだと思われます!
ファルおやおや。
捨て身の覚悟でやって来ましたか。
エフいい度胸ねぇ。殺さない程度に、
優しく縛り上げてあげましょ♥

 
第11話 決戦
 

ドライゼ……いたぞ、奴らだ。
……俺達が倒れれば、
マスターを守る盾がなくなる。
ドライゼ戻れないことは覚悟の上だが……
最後の一人になっても、
決して諦めず、マスターを死守しよう。
シャスポーふん……君に言われなくても
わかっているよ。〇〇は
絶対に傷付けさせない。
ローレンツはい……!
〇〇さんを、
絶対守ってみせますっ!
シャスポーよし──行くぞ!

第12話 マスターと貴銃士 Edit

+  ネタバレ注意
──コン、コココン、コン
???なぁなぁ、合言葉なんやったっけ?
フランス語の発音よおわからへん!
???はぁ~? アホやないの?
ほら、あれやって、あれ!
???……っていうか、ボクらの声聞いた時点で、
〇〇さんやったら
誰かわからはるやろ。
???おっ、それもそうやな!
〇〇せんせー!!
俺や、俺ー!! 今開けたるで!!
クニトモ〇〇さん大丈夫?
はしご下ろすから、
ゆっくり上がってきてな。
サカイ慌てんでも大丈夫やさかい、
そーっとな。
サカイいやぁ、クニトモが血相変えて
戻ってきたときにはヒヤッとしたけど、
先生が無事でホンマ良かったわ……。
クニトモタバティさんたちが
最後まで粘ってくれたおかげやな……。
サカイそれで……
先生と一緒におった皆のことやけど……。
サカイ…………。
サカイみーんな、大丈夫やで!
ま、だいぶボロボロやけど、
今手当てしてるとこやから安心して──
シャスポーおい! 〇〇を迎えに
行くのは僕の役目だぞ!
君たちが出しゃばらないでくれるかな!?
クニトモわっ! シャスポーさん、
まだ応急手当て終わってへんのに
走り回ったらあかんよ!
シャスポー走り回ってなんかない!
早歩きで来ただけだ。
タバティエールははっ、怪我はともかく、
元気はあるみたいだな……ってて。
タバティエール……すまねぇな、〇〇ちゃん。
こんなとこに
閉じ込めて行っちまったことも。
タバティエール許してもらえるなら……
今度改めて詫びをさせてくれ。
恭遠・グランバード皆、応急処置は済んだか?
敵の増援が来る可能性もある。
早めに撤退しよう!
ローレンツふぅ……本当に本当に、
〇〇さんが無事で、俺達も
ちゃんと壊れずに帰れてよかったです……。
ローレンツ俺、ここまでギリギリの戦いは初めてで……
今になってちょっと震えてきました。
ヘヘ……。
ローレンツでも、これまでにないくらい
力を出せた気がします……っ!
ドライゼ…………。
ローレンツあの……ドライゼさん?
どうかしましたか?
ドライゼいや……少し考え事をしていた。
薔薇の傷と、その力についてだ。
ドライゼ今回は〇〇が
再び結晶に触れることで力を取り戻したが、
今後もし同じことがあったら、と。
ローレンツ……俺もシャスポーさんと同じ気持ちです。
〇〇さんを
危険な目に遭わせたくありません……。
ドライゼああ。今回は他に道がなかったとはいえ、
3度目は避けるべきだと俺も考えている。
ドライゼ……マスターが力を失い、
俺達が消える、ということも……。
ドライゼ覚悟しておかなくてはならない、のか……。

 

ゴーストおーい、ファルはん。終わった?
ゴーストなあなあホクサイ、
ワイもそっち行ってええ!?
無線『………………』
ゴーストはぁ……いくらワイの存在感がないからて、
連絡まで無視せんでもええやんか。
ゴーストもうドンパチしとらんみたいやし……
もしかしてワイ、
置いていかれとるんとちゃうんか。
ゴーストあかん、はよ戻らな……!

 

ゴーストはぁ、はぁ……しんどいわ。
ワイこんなに体力なかったか……?
鍛えなあかんな。
ゴーストうわ……なんやこれ……。
ファルはん、エフ、ホクサイ……?
…………。
ゴースト……! 嘘やん……これ、皆の銃か?
兵士もみーんな倒れてもうてるし……
何があったんや。
ゴーストとにかく、早うあの人んとこ
持って帰らんと……!

 

モーゼル陛下。
ゴーストが帰還しました。
モーゼル作戦は失敗……
残りの者は銃に戻ってしまったようです。
世界帝そうか……。
持ってきてくれ、彼らを直す。
モーゼルはい、ただいま。
ですが、あなたの今の状態では……。
世界帝構わない、奴らを──
レジスタンスを根絶やしにするためならば。
モーゼル……わかりました。
世界帝うっ……!
ゲホッ……ゴホッ! ……ッ。
モーゼルアシュレー!
今日はやめておきましょう。
あなたには休息が必要だ……。
世界帝…………。