イベント/氷の柩でそよ風は眠る/エピソード

Last-modified: Wed, 30 Jan 2019 00:54:20 JST (1927d)

第1話 The Snow Queen Edit

+  ネタバレ注意
村人1おーい、馬車はまだ出ないのか?
御者もう少し待ってくれ。この雪だからな、
いつもより準備がいるんだよ。
アリ・パシャ……こんな山の中に、本当に奴らの拠点が
あるものか? まあ、極秘の施設なら
あり得ん話でもないが。
エセンはい。色々と情報を集めてみましたが、
ほぼ間違いないかと。
軍の車両を見た人も複数います。
アリ・パシャほう……ならば期待はできそうだ。
極秘というからには、
漏れるとまずい情報があるのだろうな。
アリ・パシャ俺様が手に入れて、
有意義に使ってやるとしよう。
くくく……。
マフムトエセン、アリ・パシャや。外を見てごらん。
雪であたり一面が真っ白だ。
とても綺麗だよ。
アリ・パシャチッ……
なぜ貴様までついてきたのだ、マフムトよ。
エセン雪山に興味があったから……だそうですよ。
アリ・パシャはぁ……なんだそれは。
少しでも邪魔になるようなら
置いていってやる。
御者みんな、待たせちまってすまないね。
馬車の用意ができたよ。
どんどん乗っとくれ!

 

──ガタッ!
エセン痛……っ、
随分揺れますけど、
この馬車大丈夫なんですか?
アリ・パシャこうして走っているからには
問題ないのだろう。
滑ったりでもしない限りはな。
マフムトしかし寒いなぁ。風よけもないとは……
ふかふかの毛布を持ってくればよかったよ。
御者はっはっは。
お客さん方、好き放題言ってくれるねえ。
御者馬車はどうにもならないが、
お詫び代わりに面白い話を聞かせてやるよ。
──雪の女王伝説って知ってるかい?
アリ・パシャ雪の女王? なんだそれは。
このあたりの権力者か?
御者まさか! 人間かどうかも怪しいもんさ。
こういう吹雪の日に現れては、
男を攫うっていうんだからな。
御者去年の吹雪の日も、何人か
いなくなっちまったってよ。それも、
お客さんたちみたいな美男ばっかりねぇ。
アリ・パシャはっ……下らん噂話だな。
だが、軍の施設に人を近付けさせないために
奴らが流した噂だとしたら……。
エセン……なるほど、
そういう可能性もありますね。
御者へ? お客さん、なんか言ったかい?
──ガタガタッ!
エセンうわっ!
マフムトおっと、すごい揺れだね。
アリ・パシャ呑気なことを言っている場合か!
これは……!
御者だ、駄目だ、制御が利かない!
お、落ちるっ! ひぃぃぃ……!

 

マフムト…………う…………。
マフムトエセ、ン……ア、リ……。
…………。
謎の女…………。

 

村人2おい、大丈夫か!?
しっかりしろ!
御者う……ここは……?
ああ、馬車が落ちて……ったたた。
お客さんたちは無事かい!?
村人2お客さん──“たち”?
客は1人しかいないようだったが……。
御者そんなはずは……あと3人いて、
確かに喋ってたんだ。
なんてことない噂話を……。
…………。
御者ま、まさか……
雪の女王は本当にいるのか……?

第2話 視察任務へ Edit

+  ネタバレ注意
ライク♥ツーふっ、
ライク♥ツーふっ、ふっ……っ、と!
ラブ★ワンおっ、ライたん!
今日も筋トレ頑張ってんね~。
ヒュ~! 腹筋バッキバキー★
ライク♥ツー当然でしょ、僕ら軍人だし。
お兄ちゃんも一緒にどう?
鍛えたら、ジャムる癖も直るかもよ。
ラブ★ワンおおっと! 弟が今日も手厳し~い!
ラブ★ワンそんなストイックなライたんに、
モーゼルから
お仕事のオーダーだよぉ~ん★
ライク♥ツーモーゼルから?
ってことは、あの人絡みかな。
ラブ★ワンイエース! 最近お疲れな世界帝の
リフレッシュお忍び旅用に、
イイ感じのホテルを予約しとけってさ。
ライク♥ツーホテルか……それなら僕、
気になってるとこがあるんだよねー。
ライク♥ツーお兄ちゃん、アイスホテルって知ってる?
建物がぜーんぶ氷でできてる、
超ゴージャスなホテル。
ライク♥ツー景色は神秘的でー、
リッチなバーもあってー……
セレブなあの人にはぴったりだと思わない?
ラブ★ワンおっ、いいんじゃない?
ライたんのチョイスなら、間違いナシ!
ライク♥ツーじゃ、さっそく僕らで下見に行こ。
世界帝が泊まる場所に相応しいか、
ちゃんと確認しないとね。
ライク♥ツーふふ、こんな任務が回ってくるなんて、
超ラッキー! 楽しみだなー。
ホクサイだねぇ~!
ボクちゃんもホントに楽しみだよ~。
ライク♥ツーわっ!?
ホクサイさん、いつからいたの!?
ホクサイさあね~? それより、
ボクちゃんもそのホテル知ってるよ~。
近くにブルーアイスケーブがあるからね!
ラブ★ワンブルーアイスケーブ……
って、青い氷の洞窟? 何ソレ?
ホクサイふっふっふーん。
分厚くて密度が高い氷は、
赤の可視光線を吸収するのさ!
ホクサイそういう特別な氷でできた洞窟の中は、
青い光が透過して一面が
綺麗なブルーに……! アハ、アハハハ!
ライク♥ツー……。はぁ……。
ホクサイおおっと!
そんな冷たい反応しないでほしいな~!
お目当てはもう1個あるのさ。
ホクサイホテルの地下には、
世界帝軍の極秘研究施設があるからね。
そっちにも顔を出すよ。
ライク♥ツーそのあたりはどーでもいいけど、
行くなら早く準備してね。
ホクサイはいはーい。
んじゃ、10分後に集合~!

第3話 地下での目覚め Edit

+  ネタバレ注意
エセンう……。
あれ……、僕は……。
エセン……くっ、足が……。
うわ、すごい色になってる。
骨は──一応大丈夫そう、か。
エセンでも、……っ、あばら、かな……。
こっちは〇〇に
治療してもらわないと、厳しいかも……。
エセン……僕、なんで
こんなところにいるんだろう。
馬車が落ちたことまでは覚えてるけど……。
エセン気味が悪い場所だな……。
銃もないし、アリ・パシャと
マフムトを、探さな、いと……。
???──いやあ、実に光栄です!
特別幹部の方々に、
私の研究の成果をお見せできるとは!
エセン誰か、来る……!

 

博士……さあ、どうぞ。こちらが、
コールドスリープの実験室ですよ。
博士先ほども新たな実験体が届きまして。
それも、良質なものが3体も……おや?
博士い、いない!? 最初の1体を
ここに保管しておいたはずなのに!
博士ああ、なんということだ。
あの実験体は必ず捕獲しなければ……!
おい! 誰か来い!
ラブ★ワンなーんか騒がしくなっちったねえ、
ライたん。
ライク♥ツーっていうか僕、コールドスリープとか
興味ないんだけど。
先にホテル見に行こ、お兄ちゃん。
ホクサイあれれ……実験体がいないなら、
先にブルーアイスケーブに行ってくるよ~。
エセン(今のは、敵の貴銃士……!?
まずい……
世界帝軍の実験施設だったのか……)
エセン(あいつらに、見つかる前に
……逃げ、ない、……と……)
──ドサッ!
博士……ん? 今、何か音が……。
博士おや! こんなところに隠れていたのか。
もう逃しませんよ。ふふふ……。

 

???……シャ、アリ・パシャよ。
起きておくれ……!
アリ・パシャん……。なんだ、ここは……倉庫か?
……っく、一体どうなっている……?
アリ・パシャおい。馬車が落ちたあとに何があったのか、
貴様は何か覚えているか?
マフムトうむ……余も気を失っていたようでね。
倒れていた余たちを誰かが運んだことは、
薄ら記憶にあるのだが……。
アリ・パシャ問題は、それが誰かだな。
……今わかるのは、間違いなく
よからぬ相手だということだけだ。
アリ・パシャ……この怪我を放置して、
物置じみた場所の床なんぞに
寝かせられていたのだからな。……っ。
アリ・パシャチッ……〇〇の
いない場所でこの深手は響くな。
……動けるうちに、ここから出るぞ。
アリ・パシャエセン、来い。
…………おい、エセン?
マフムト余が目覚めたときには、
もう姿がなかったのだよ。
様子を探りにでも行ったのだろうか……。
アリ・パシャ……いや。見ろ、エセンの銃と荷物がある。
目立つとはいえ、
得体の知れぬ場所で銃を置いていくか?
マフムトでは、エセンは……
もしや、どこかに囚われているのか……?

第4話 女王の正体 Edit

+  ネタバレ注意
ラブ★ワンアイスホテル、良い感じじゃーん!
さっすがライたん、外さないねー★
ライク♥ツーでしょ? サービスもセキュリティも
いいし、これならあの人が泊まっても
問題なさそーだよね。
ラブ★ワンんじゃ、さっそくモーたんに連絡連絡~★
そういや、ホクちん戻ってきてないけど……
まだ洞窟にいるのかねぇ。
兵士ラブワンさん、ライクツーさん!
大変ですっ! ホ、ホクサイさんが……!
兵士アイスケーブで氷漬けになっているのを
発見しました!
おまけに、何故か全裸でして……。
ライク♥ツーはぁ? ホクサイ何やってんの……
どうせ、青に夢中になってる内に
寒さでおかしくなったんでしょ。
ラブ★ワンおいらたちはそう簡単に死なない
だろうしさー、とりあえず解凍して、
駄目なら帝都に送ればOKっしょ★
兵士は、はい、了解しました。それから
もう1つ、ホクサイさんが出掛ける前に、
気になることを仰っていて……。

 

ホクサイさて、アイスケーブにしゅっぱーつ!
あ、そこの兵士クン。研究所に残るなら
気を付けた方がいいかもよ~?
兵士……と言いますと?
ホクサイ“雪の女王”に捕まっちゃうかも
しれないからさ!
だって、彼女の正体は──。

 

ホクサイおや~? キミ、上のホテルの従業員
だよね。この研究所のことを知ってるのは
一握りのはずだけど……キミは?
女性従業員……! 私は、その……
清掃のために特別に立ち入りを
許可されていまして……。
ホクサイへぇ~、そうなんだ。
掃除道具は持ってないみたいだけど……。
その紙袋の中身はなーに?
女性従業員あっ……!
ホクサイおおっと、結構なお金だねぇ。
もしかしてキミ、泥棒サン? ボクちゃんの
実験台にもらっちゃおうかな~?
女性従業員ひっ……! ど、泥棒じゃないわよ!
この金は、博士にもらった報酬なんだから!
ホクサイ報酬って、なんの?
女性従業員実験体よ! 博士好みの人間を
雪山で見つけてここに運ぶの。今日は
3人分だから額も多かった、それだけ!
ホクサイんー? 実験体なら
軍から提供してるはずだけど……
アハハ、彼の悪いクセが出ちゃったのかぁ。
ホクサイボクちゃんもそうだけど、科学者ってのは
こだわりがあるからねぇ~。
ま、雪山ならバレないだろうしいっか!
ホクサイでもザンネン。“雪の女王”の正体は
キミだった、ってわけだね。
がっかりだよ~。
女性従業員と、とにかく!
私は何も悪いことなんかしてないんだから、
文句なら博士に言ってよ!

 

ホクサイ──ってことがあったんだよ~。
でも、変なんだよね~。
ホクサイ博士も彼女も、実験体は「3人」って
言ってたのに、確認したら
1体しか見つからなかったんだってさ~。
ホクサイもしかしたら本物の“雪の女王”が
いるのかも……アハハハ!

 

ライク♥ツー雪の女王なんているわけないし……
つまり、逃げた実験体が
地下のどこかに潜んでるかもってことね。
ラブ★ワンこの施設の存在って、部外者に
知られるのはマズイんだったよね。
どーする? ライたん。
ライク♥ツーはぁ……面倒だけど、休日出勤確定かぁ。
そいつら、ちゃちゃっと見つけて
始末しちゃおー。

第5話 地下での邂逅 Edit

+  ネタバレ注意
マフムトうむ、誰もいないようだ。
……アリ・パシャ、こちらへ。
アリ・パシャハァ……ハァ……わかっている。
妙に人気はないくせに、部屋数は
やたら多いな。どこかに潜んでいるのか?
アリ・パシャエセンを探すにしても……くっ……
“ハズレ”を引いて
敵に出くわすと厄介だぞ。
マフムトむ……それもそうだね。
その怪我では、アリ・パシャは
満足に戦えぬだろうし……。
マフムト……そうだ。余の怪我はまだ軽い方だから、
余がエセンを探して共に外へ出るとしよう。
マフムト君は先に出て、
〇〇や恭遠に連絡しておくれ。
助けが必要だ、と。
アリ・パシャ祈るしか能のない貴様に、
この場を任せておけるならそうするがな。
……っ、おい、隠れろ!
兵士おい、見つかったか?
地下だけでなく上階の捜索も行え!
マフムトあれは……世界帝軍の兵士か。
ううむ……これはいけない。
この状態の我らだけでは……。
アリ・パシャ……っ、やむを得ん。ここで2人共
倒れてはどうしようもない。
まずは脱出して態勢を立て直すぞ。
アリ・パシャ奴らは今『地下』と言っていたな。
ならば、地上へ出る階段は──あれか。
くっ……おい、さっさと行くぞ!
???はーい、そこまで。
順番に始末してあげるから、
あんまりうろちょろしないでくれる?
アリ・パシャ……! 何だ、貴様は!
ライク♥ツーこれから死ぬ奴に
名乗る必要なんてないでしょ。
……あれ、殺さない方がいいんだっけ。
ライク♥ツーまあいっか。実験体なんて
いくらでも用意できるし。
ってわけで、バイバーイ。
アリ・パシャ……っく!
マフムトうぐっ……!
アリ・パシャよ、扉まで走るぞ!
ライク♥ツーったく、逃げんなっつってんだろ!
ちゃんとトドメさせないじゃん!

 

ライク♥ツーうわっ……何この吹雪!
こんなとこいたら、銃と皮膚が
張り付いちゃうっての……!
ライク♥ツー雪山装備にチェンジしてから追うかー。
でも、何発か撃ち込んだし、
この寒さならあいつらも死ぬでしょ。
ライク♥ツーあとで一応、
兵士に死体確認させればいっかぁ。

 

アリ・パシャくっ……、足が動かん……!
クソッ……血を流しすぎ、た……。
──ドサッ!
マフムトアリ・パシャ……!
う……、余も……あまりに
深手を負ってしまった、よう……だ、な。
──ドサッ!
マフムトああ、もはや……奴らより先に……
皆が来ることを、祈ること、しか……。
マフムト……余の髪と服が……
白くて、よかった、なぁ……。
マフムト雪に紛れて、
同朋(とも)を、守れ……る……。

第6話 反撃の狼煙 Edit

+  ネタバレ注意
アリ・パシャ……む、
……う……ここ、は……。

 
第6話 反撃の狼煙
 

フルサトアラ、目が覚めたのネ!
よかったわァ!
アリ・パシャなっ……フルサトにキンベエ……!?
〇〇まで……!
キンベエ疲れたときには、
美味いもんを食うのが一番だ。
さあ、熱いから気を付けろよ。
アリ・パシャな、なんなんだ、これは……。
フルサトコレは焼いたお餅♪
お正月のあまりで作ったのヨ~。
さ、アリ・パシャちゃんも食べて♪
アリ・パシャそうではない!
おかしい……一体何が起こって……!
アリ・パシャくそ、俺様は夢でも見ているのか……!?
フルサトノンノン、夢じゃないわ。
……マフムトちゃんは、
まだ夢の中みたいだケド。
アリ・パシャ……状況が掴めん。
何がどうなっているのだ。
フルサト……ユーたちからの定時連絡がなくて
心配してたら、
馬車事故の知らせが入ったノ。
フルサト3人が見つからないって聞いて、
何かあったんだワ、と思って……
基地にいたワタシたちが急いで来たのヨ。
フルサトどこに敵がいるかわからないカラ、
こうして3人で、観光客のフリをしてネ。
キンベエ例のホテルの辺りを探っとったら、
軍の兵士が見えてなぁ。こりゃあ怪しいと
踏んで、近くを見てみたら……
キンベエ妙に雪が積もっとるところが
あったもんでな。気になって掘ってみたら、
お前さんたちがいたってわけだ。
キンベエいやぁ……お前さんはうんともすんとも
言わんし、マフムトは銃に
戻っておったから、肝が冷えたぞ……。
マフムトう……。
キンベエおお、よかった!
マフムトも気がついたか!
マフムトおや……〇〇、
フルサト、それにキンベエも……?
そうか……余の祈りが通じたのだね。
アリ・パシャ……フン、偶然だ。
貴様が祈ったから
どうのということではない。
マフムトふふ……何にしても、ありがとう。
心から礼を言うよ。
マフムト〇〇のおかげで
傷もすっかり治った。
これなら、エセンを助けにいけそうだ。
フルサトやっぱり、エセンちゃんは……。
あちこち探したけど、
ホテルの中でも外でも見つからなかったノ。
アリ・パシャああ。奴らの手中にあるか、
地下でなんとか逃げおおせているか……。
いずれにしても危うい。
キンベエそうか……。
では、こいつが役立ちそうだな。
アリ・パシャん? 何だそれは。……図面か?
キンベエああ。〇〇が治療しとる間、
フルサト殿と手分けして、
ホテルの構造を調べとったんだ。
キンベエお前さんらの意識が戻ったら
すぐにでも作戦を立てて動けるように、
図面に書き起こしたのがこれだ。
アリ・パシャほう……これは有用だな。
地上部分から地下の構造も
ある程度推測できるか?
キンベエああ。お前さんたちも、
何か覚えていることがあれば教えてくれ。

 

キンベエ……できたぞ。わしとフルサト殿は、
ホテルの横手で騒ぎを起こす。
フルサトエセンちゃんを救出しにきたと思わせて、
敵を引きつけるのネ。任せて♪
キンベエこの作戦は時間が勝負だからな。
陽動だと気付かれる前に、
エセンを見つけて脱出するのが肝だ。
キンベエ重要なものは、一番守りの
固い場所にある。わしが思うに──
このあたりが怪しい。
アリ・パシャなるほどな。
まずはそこに賭けるとしよう。
アリ・パシャ……おい、〇〇。
お前は以前奴らの基地へ乗り込んだとき、
顔を見られている。
アリ・パシャ掴まれば今度こそ、みすみす
逃されはしないだろう。お前はここで
待機して、応援と合流しろ。いいな?
マフムト〇〇。エセンを連れて、
必ずあなたのところへ戻るよ。
マフムトさて……皆、そろそろ行こうか。
エセンを取り戻しに。

第7話 凍える心の片隅で Edit

+  ネタバレ注意
エセン(……誰かの……話す声…………)
エセン(……ここ、は……)
博士せっかく3体分の金を払ったというのに、
残った実験体は君ひとつか。
……まあいい。
エセン(……身体が、うご、かない……)
博士実験のために用意した麻酔だからな。
ピクリとも動けまい。
博士さあキミ、観念したまえ。
逃げてしまった君の仲間の分まで、
役に立ってくれよ?
エセン(逃げてしまった……?)
エセン(そうか……。アリ・パシャとマフムトは、
僕を置いて脱出したのか……)
エセン(……当然、だ。
弱いものは切り捨てる……
僕だって、そうしてきた……)
エセン(…………)
エセン(……〇〇に渡そうと思っていたペンダント……
作りかけだったな……)
エセン(あれを渡したら、どんな顔するか……
見られないのは、残念、かも……な……)
博士ふふふ……
君を永遠にしてあげよう。

 

マフムトこのあたりは特に見張りが多い。
キンベエの読みは正しかったようだ。
アリ・パシャらしいな。と、なれば……
施設の最奥は、ここだ!
兵士なっ、なんだ、お前たちは!
アリ・パシャええい、邪魔をするな!

 

博士なんの騒ぎだ!? この大事なときに……。
兵士博士! 侵入者が……!
兵士ぐあぁっ!
マフムトエセン、いるのか!?
アリ・パシャくっ……
なんだ、この気味の悪い場所は!
博士……お前たち、逃げた実験体か!
今さら仲間を助けにきたのか?
博士くくっ……だが、もう遅い!
見ろ、私の実験は
間もなくフィナーレを迎えるのだ!
アリ・パシャ&マフムト…………!?

第8話 永久の眠り Edit

+  ネタバレ注意

第8話 永久の眠り
 

アリ・パシャこ、これは……!?
マフムトエセン……!?
博士はっはっは!
あまりの美しさに言葉も出ないようだね!
アリ・パシャ貴様っ……何をした!
博士まったく、騒々しい。
永い眠りにつこうとしている彼を
邪魔しないでくれ。
博士もっとも……
君たちがどんなに騒いだところで、
彼が目覚めることはないがね。
マフムトなん……だと……!?
博士無学な諸君に教えてあげよう。
『コールドスリープ』だよ。私の開発した
特殊な液体に肉体を浸し──。
博士最適な冷温で眠らせることで、
いつまでも変わらず美しいまま、
彼の肉体を保存することが可能になる!
マフムトっ……!
博士この液体が完璧に凍ったとき、
彼の肉体は永遠になるのだ!
博士奇跡の瞬間に、君たちを
立ち会わせてあげるのだ!
感謝したまえよ? はーっはっはっは!
アリ・パシャ……ハッ。この俺様の部下に
手を出すとはな……
度胸だけは認めてやろう。
マフムトしかし……
この状態からどうすればよいのだ。
アリ・パシャたわけ。エセンはまだ、
貴銃士としての身体を保っているだろう。
マフムト……!
アリ・パシャああ。
──今ならまだ間に合う!

第9話 憤怒の鉄槌 Edit

+  ネタバレ注意
アリ・パシャ──今ならまだ間に合う!
博士なんだと? 完全に永遠の存在に
なろうとしている彼を台無しにする気か!?

 
第9話 憤怒の鉄槌1
 

アリ・パシャハッ……
貴様の下らん理想なんぞ知るか!!
クソッ、割れろ……!
博士無理に決まっている!
そのコフィンは強化ガラスで作った
特別製で……。
──ピキッ!
博士なっ……!? や、やめろ!
これは繊細な技術なんだ!
博士コールドスリープの状態を解くには
複雑な段階が……っ!
今装置を壊せば彼は死ぬぞ!?
アリ・パシャふっ……こいつがただの人間なら、
あるいはそうかもしれん。
博士はっ!? 人間ではないとしたら一体……
いや、待てよ。まさかお前たちは、
レジスタンスの……!?
アリ・パシャ答える義理はない──なっ!
──ガシャン!!
エセン…………。
マフムトエセンや……!
ああ、よかった……
気を失ってはいるが、ちゃんと息がある。
博士くっ……なぜだ、なぜ邪魔をする!
博士最も美しい姿で時を止め、
永久のものにする……
このロマンがわからないのか!?

 
第9話 憤怒の鉄槌2
 

アリ・パシャ貴様のような狂った輩の考えなど、
わかるわけがないだろう! たわけ!
マフムトさあ、この愚かしい実験室は、
もう使えなくしてしまおうね。
そして、あなたも。
マフムトさあ……
共に祈ろう、世界の平和を……!
博士ぐっ、ぐああああっ!
アリ・パシャ……よし。さっさとここから出るぞ。
マフムトエセンや、すぐに
〇〇のところへ連れて行く。
もう少しの辛抱だ……!

第10話 いつかの終わりに思うこと Edit

+  ネタバレ注意
兵士報告します!
地下施設に侵入者あり! 増援求む!
ライク♥ツーはぁ? お兄ちゃんは何やってんの!?
兵士そ、それはですね……。
ライク♥ツーあー、はいはい。
どうせまたジャムったか鼻血か
どっちもでしょ。
ライク♥ツーったく、なんか怪しいから、
わざわざお兄ちゃんはあっちに
置いてきたのに、役に立たないな……!
ライク♥ツーこっちのレジスタンスは
適当に相手よろしく。
たぶん地下の方が本命だから。

 

エセンん……。あ、れ……?
ここ……僕、は……。
アリ・パシャエセン、気がついたか。
話はあとだ。まずは地上へ出るぞ。
エセンぼ、僕……す、みませ……。
僕……まだできる、ので……。
アリ・パシャチッ……さっきの奴か。
おいエセン、謝っている暇があったら
足を動かせ。これは命令だ。
エセンはい、アリ・パシャ様……
ご命令でしたら。
ライク♥ツー……っ、いた! 弱いくせにしぶとさだけは
人一倍だなー。ま、今度こそ
きっちり始末してあげますけど。
アリ・パシャふ……生憎、こちらは
貴様の相手をしているほど暇ではなくてな。
アリ・パシャ……おい、早く上がれ。
奴が追ってこられぬよう、
心銃で階段を破壊するぞ。
エセン&マフムトはい……!
うむ。
(心銃)
ライク♥ツーチッ……!
おい! 逃げんなよてめえら!
アリ・パシャ最後に一つ忠告しておいてやろう。
世界帝の世は、いずれ終わる。
──俺様が終わらせてやる。
ライク♥ツーは……はあ!?
アリ・パシャ今のうちに、
せいぜい楽しんでおくことだな。
ライク♥ツーゴ、ゴミクズの癖に……
何言っちゃってんの、あいつら……。
ライク♥ツーあの人の世が終わるなんて、
あるわけないじゃん……。

 

ラブ★ワンライたん!
すんごい音したけど、だいじょーぶ!?
ライク♥ツー…………。
ラブ★ワンおーい、ライたん? もしもーし!?
ライク♥ツー……うるさいなぁ。
大丈夫だから、ちょっと黙ってて……。
ラブ★ワンんー……?

第11話 戻るべき場所 Edit

+  ネタバレ注意
キンベエいやぁ……ひとまずなんとかなって、
良かったのぉ。
フルサト〇〇、体調はダイジョウブ?
エセンちゃんの治療が終わったら、
しばらくここで休みまショ。
フルサトヒミツの隠れ家だから、
安心してゆっくりネ♪
エセン…………。
エセン〇〇、ありがとうございます。
もう、どこも悪くありません。
エセンあの……皆さん、申し訳ありませんでした。
ご迷惑をお掛けしてしまって……。
キンベエ何を言っとる! 馬車事故といい、
妙な研究者といい、
お前さんは災難に巻き込まれただけだ。
フルサト〇〇と金チャンの言う通りヨ!
エセンちゃんは、
助けが来るまでよく頑張ったワ。
エセンあ、ありがとうございます……。
エセンあの……アリ・パシャ様は、
どうして僕を助けたんですか?
アリ・パシャ……なんだと?
エセン状況はどうあれ、敵に捕まって
実験材料にされるなんて……
大きな失態です。
エセン僕はあの状況をひとりで
切り抜けられるほどの力を
持たなかった……。
エセン強いものが生き残り、弱きは朽ちる。
それがあなたの考えなのに、なぜ、と……。
アリ・パシャふん……簡単なことだ。お前が
貴銃士だと敵に知れて人質にされれば、
どんな厄介な要求をされるか。
アリ・パシャ愚かな〇〇は、
分の悪い交渉にも応じかねんからな。
アリ・パシャ〇〇は
俺様の野望の実現のために必要な存在だ。
失うわけにはいかん。
アリ・パシャそれに、キンベエの言う通り、
今回は不運が重なった。
アリ・パシャそこは、お前の能力とは切り離して
評価すべきだ。俺様はお前にまだ
利用価値があると判断した。それだけだ。
エセン……そう、ですか。
マフムトふふ……アリ・パシャは物事を
難しく考えすぎるきらいがあるのだね。
マフムトエセンは我が同朋、大切な仲間だ。
それを救うのに、特別な理由は要るまい。
アリ・パシャ……ふん……。
エセン…………。

 

エセン〇〇。
あの……基地に戻ったら、
衛生室に行ってもいいですか。
エセンあ、いえ。怪我はもう全部治っているので
大丈夫です。そうではなくて……。
エセン少し、渡したいものがあって。
温かい飲み物と一緒に、持っていきますね。