イベント/氷の柩でそよ風は眠る/エピソード の編集 Top > イベント > 氷の柩でそよ風は眠る > エピソード **第8話 永久の眠り [#episode8] #region(ネタバレ注意) &attachref(./第8話 永久の眠り.jpg,zoom,第8話 永久の眠り,259x200); |アリ・パシャ|こ、これは……!?| |マフムト|エセン……!?| |博士|はっはっは!&br;あまりの美しさに言葉も出ないようだね!| |アリ・パシャ|貴様っ……何をした!| |博士|まったく、騒々しい。&br;永い眠りにつこうとしている彼を&br;邪魔しないでくれ。| |博士|もっとも……&br;君たちがどんなに騒いだところで、&br;彼が目覚めることはないがね。| |マフムト|なん……だと……!?| |博士|無学な諸君に教えてあげよう。&br;『コールドスリープ』だよ。私の開発した&br;特殊な液体に肉体を浸し──。| |博士|最適な冷温で眠らせることで、&br;いつまでも変わらず美しいまま、&br;彼の肉体を保存することが可能になる!| |マフムト|っ……!| |博士|この液体が完璧に凍ったとき、&br;彼の肉体は永遠になるのだ!| |博士|奇跡の瞬間に、君たちを&br;立ち会わせてあげるのだ!&br;感謝したまえよ? はーっはっはっは!| |アリ・パシャ|……ハッ。この俺様の部下に&br;手を出すとはな……&br;度胸だけは認めてやろう。| |マフムト|しかし……&br;この状態からどうすればよいのだ。| |アリ・パシャ|たわけ。エセンはまだ、&br;貴銃士としての身体を保っているだろう。| |マフムト|……!| |アリ・パシャ|ああ。&br;──今ならまだ間に合う!| #endregion //------------------------------ ページの更新 ビジュアル編集モードに切り替える &embed(31); **第1話 The Snow Queen [#episode1] #region(ネタバレ注意) |村人1|おーい、馬車はまだ出ないのか?| |御者|もう少し待ってくれ。この雪だからな、&br;いつもより準備がいるんだよ。| |アリ・パシャ|……こんな山の中に、本当に奴らの拠点が&br;あるものか? まあ、極秘の施設なら&br;あり得ん話でもないが。| |エセン|はい。色々と情報を集めてみましたが、&br;ほぼ間違いないかと。&br;軍の車両を見た人も複数います。| |アリ・パシャ|ほう……ならば期待はできそうだ。&br;極秘というからには、&br;漏れるとまずい情報があるのだろうな。| |アリ・パシャ|俺様が手に入れて、&br;有意義に使ってやるとしよう。&br;くくく……。| |マフムト|エセン、アリ・パシャや。外を見てごらん。&br;雪であたり一面が真っ白だ。&br;とても綺麗だよ。| |アリ・パシャ|チッ……&br;なぜ貴様までついてきたのだ、マフムトよ。| |エセン|雪山に興味があったから……だそうですよ。| |アリ・パシャ|はぁ……なんだそれは。&br;少しでも邪魔になるようなら&br;置いていってやる。| |御者|みんな、待たせちまってすまないね。&br;馬車の用意ができたよ。&br;どんどん乗っとくれ!| ||──ガタッ!| |エセン|痛……っ、&br;随分揺れますけど、&br;この馬車大丈夫なんですか?| |アリ・パシャ|こうして走っているからには&br;問題ないのだろう。&br;滑ったりでもしない限りはな。| |マフムト|しかし寒いなぁ。風よけもないとは……&br;ふかふかの毛布を持ってくればよかったよ。| |御者|はっはっは。&br;お客さん方、好き放題言ってくれるねえ。| |御者|馬車はどうにもならないが、&br;お詫び代わりに面白い話を聞かせてやるよ。&br;──雪の女王伝説って知ってるかい?| |アリ・パシャ|雪の女王? なんだそれは。&br;このあたりの権力者か?| |御者|まさか! 人間かどうかも怪しいもんさ。&br;こういう吹雪の日に現れては、&br;男を攫うっていうんだからな。| |御者|去年の吹雪の日も、何人か&br;いなくなっちまったってよ。それも、&br;お客さんたちみたいな美男ばっかりねぇ。| |アリ・パシャ|はっ……下らん噂話だな。&br;だが、軍の施設に人を近付けさせないために&br;奴らが流した噂だとしたら……。| |エセン|……なるほど、&br;そういう可能性もありますね。| |御者|へ? お客さん、なんか言ったかい?| ||──ガタガタッ!| |エセン|うわっ!| |マフムト|おっと、すごい揺れだね。| |アリ・パシャ|呑気なことを言っている場合か!&br;これは……!| |御者|だ、駄目だ、制御が利かない!&br;お、落ちるっ! ひぃぃぃ……!| |マフムト|…………う…………。| |マフムト|エセ、ン……ア、リ……。&br;…………。| |謎の女|…………。| |村人2|おい、大丈夫か!?&br;しっかりしろ!| |御者|う……ここは……?&br;ああ、馬車が落ちて……ったたた。&br;お客さんたちは無事かい!?| |村人2|お客さん──“たち”?&br;客は1人しかいないようだったが……。| |御者|そんなはずは……あと3人いて、&br;確かに喋ってたんだ。&br;なんてことない噂話を……。| ||…………。| |御者|ま、まさか……&br;雪の女王は本当にいるのか……?| #endregion //------------------------------ **第2話 視察任務へ [#episode2] #region(ネタバレ注意) |ライク♥ツー|ふっ、| |ライク♥ツー|ふっ、ふっ……っ、と!| |ラブ★ワン|おっ、ライたん!&br;今日も筋トレ頑張ってんね~。&br;ヒュ~! 腹筋バッキバキー★| |ライク♥ツー|当然でしょ、僕ら軍人だし。&br;お兄ちゃんも一緒にどう?&br;鍛えたら、ジャムる癖も直るかもよ。| |ラブ★ワン|おおっと! 弟が今日も手厳し~い!| |ラブ★ワン|そんなストイックなライたんに、&br;モーゼルから&br;お仕事のオーダーだよぉ~ん★| |ライク♥ツー|モーゼルから?&br;ってことは、あの人絡みかな。| |ラブ★ワン|イエース! 最近お疲れな世界帝の&br;リフレッシュお忍び旅用に、&br;イイ感じのホテルを予約しとけってさ。| |ライク♥ツー|ホテルか……それなら僕、&br;気になってるとこがあるんだよねー。| |ライク♥ツー|お兄ちゃん、アイスホテルって知ってる?&br;建物がぜーんぶ氷でできてる、&br;超ゴージャスなホテル。| |ライク♥ツー|景色は神秘的でー、&br;リッチなバーもあってー……&br;セレブなあの人にはぴったりだと思わない?| |ラブ★ワン|おっ、いいんじゃない?&br;ライたんのチョイスなら、間違いナシ!| |ライク♥ツー|じゃ、さっそく僕らで下見に行こ。&br;世界帝が泊まる場所に相応しいか、&br;ちゃんと確認しないとね。| |ライク♥ツー|ふふ、こんな任務が回ってくるなんて、&br;超ラッキー! 楽しみだなー。| |ホクサイ|だねぇ~!&br;ボクちゃんもホントに楽しみだよ~。| |ライク♥ツー|わっ!?&br;ホクサイさん、いつからいたの!?| |ホクサイ|さあね~? それより、&br;ボクちゃんもそのホテル知ってるよ~。&br;近くにブルーアイスケーブがあるからね!| |ラブ★ワン|ブルーアイスケーブ……&br;って、青い氷の洞窟? 何ソレ?| |ホクサイ|ふっふっふーん。&br;分厚くて密度が高い氷は、&br;赤の可視光線を吸収するのさ!| |ホクサイ|そういう特別な氷でできた洞窟の中は、&br;青い光が透過して一面が&br;綺麗なブルーに……! アハ、アハハハ!| |ライク♥ツー|……。はぁ……。| |ホクサイ|おおっと!&br;そんな冷たい反応しないでほしいな~!&br;お目当てはもう1個あるのさ。| |ホクサイ|ホテルの地下には、&br;世界帝軍の極秘研究施設があるからね。&br;そっちにも顔を出すよ。| |ライク♥ツー|そのあたりはどーでもいいけど、&br;行くなら早く準備してね。| |ホクサイ|はいはーい。&br;んじゃ、10分後に集合~!| #endregion //------------------------------ **第3話 地下での目覚め [#episode3] #region(ネタバレ注意) |エセン|う……。&br;あれ……、僕は……。| |エセン|……くっ、足が……。&br;うわ、すごい色になってる。&br;骨は──一応大丈夫そう、か。| |エセン|でも、……っ、あばら、かな……。&br;こっちは〇〇に&br;治療してもらわないと、厳しいかも……。| |エセン|……僕、なんで&br;こんなところにいるんだろう。&br;馬車が落ちたことまでは覚えてるけど……。| |エセン|気味が悪い場所だな……。&br;銃もないし、アリ・パシャと&br;マフムトを、探さな、いと……。| |???|──いやあ、実に光栄です!&br;特別幹部の方々に、&br;私の研究の成果をお見せできるとは!| |エセン|誰か、来る……!| |博士|……さあ、どうぞ。こちらが、&br;コールドスリープの実験室ですよ。| |博士|先ほども新たな実験体が届きまして。&br;それも、良質なものが3体も……おや?| |博士|い、いない!? 最初の1体を&br;ここに保管しておいたはずなのに!| |博士|ああ、なんということだ。&br;あの実験体は必ず捕獲しなければ……!&br;おい! 誰か来い!| |ラブ★ワン|なーんか騒がしくなっちったねえ、&br;ライたん。| |ライク♥ツー|っていうか僕、コールドスリープとか&br;興味ないんだけど。&br;先にホテル見に行こ、お兄ちゃん。| |ホクサイ|あれれ……実験体がいないなら、&br;先にブルーアイスケーブに行ってくるよ~。| |エセン|(今のは、敵の貴銃士……!?&br;まずい……&br;世界帝軍の実験施設だったのか……)| |エセン|(あいつらに、見つかる前に&br;……逃げ、ない、……と……)| ||──ドサッ!| |博士|……ん? 今、何か音が……。| |博士|おや! こんなところに隠れていたのか。&br;もう逃しませんよ。ふふふ……。| |???|……シャ、アリ・パシャよ。&br;起きておくれ……!| |アリ・パシャ|ん……。なんだ、ここは……倉庫か?&br;……っく、一体どうなっている……?| |アリ・パシャ|おい。馬車が落ちたあとに何があったのか、&br;貴様は何か覚えているか?| |マフムト|うむ……余も気を失っていたようでね。&br;倒れていた余たちを誰かが運んだことは、&br;薄ら記憶にあるのだが……。| |アリ・パシャ|問題は、それが誰かだな。&br;……今わかるのは、間違いなく&br;よからぬ相手だということだけだ。| |アリ・パシャ|……この怪我を放置して、&br;物置じみた場所の床なんぞに&br;寝かせられていたのだからな。……っ。| |アリ・パシャ|チッ……〇〇の&br;いない場所でこの深手は響くな。&br;……動けるうちに、ここから出るぞ。| |アリ・パシャ|エセン、来い。&br;…………おい、エセン?| |マフムト|余が目覚めたときには、&br;もう姿がなかったのだよ。&br;様子を探りにでも行ったのだろうか……。| |アリ・パシャ|……いや。見ろ、エセンの銃と荷物がある。&br;目立つとはいえ、&br;得体の知れぬ場所で銃を置いていくか?| |マフムト|では、エセンは……&br;もしや、どこかに囚われているのか……?| #endregion //------------------------------ **第4話 女王の正体 [#episode4] #region(ネタバレ注意) |ラブ★ワン|アイスホテル、良い感じじゃーん!&br;さっすがライたん、外さないねー★| |ライク♥ツー|でしょ? サービスもセキュリティも&br;いいし、これならあの人が泊まっても&br;問題なさそーだよね。| |ラブ★ワン|んじゃ、さっそくモーたんに連絡連絡~★&br;そういや、ホクちん戻ってきてないけど……&br;まだ洞窟にいるのかねぇ。| |兵士|ラブワンさん、ライクツーさん!&br;大変ですっ! ホ、ホクサイさんが……!| |兵士|アイスケーブで氷漬けになっているのを&br;発見しました!&br;おまけに、何故か全裸でして……。| |ライク♥ツー|はぁ? ホクサイ何やってんの……&br;どうせ、青に夢中になってる内に&br;寒さでおかしくなったんでしょ。| |ラブ★ワン|おいらたちはそう簡単に死なない&br;だろうしさー、とりあえず解凍して、&br;駄目なら帝都に送ればOKっしょ★| |兵士|は、はい、了解しました。それから&br;もう1つ、ホクサイさんが出掛ける前に、&br;気になることを仰っていて……。| |ホクサイ|さて、アイスケーブにしゅっぱーつ!&br;あ、そこの兵士クン。研究所に残るなら&br;気を付けた方がいいかもよ~?| |兵士|……と言いますと?| |ホクサイ|“雪の女王”に捕まっちゃうかも&br;しれないからさ!&br;だって、彼女の正体は──。| |ホクサイ|おや~? キミ、上のホテルの従業員&br;だよね。この研究所のことを知ってるのは&br;一握りのはずだけど……キミは?| |女性従業員|……! 私は、その……&br;清掃のために特別に立ち入りを&br;許可されていまして……。| |ホクサイ|へぇ~、そうなんだ。&br;掃除道具は持ってないみたいだけど……。&br;その紙袋の中身はなーに?| |女性従業員|あっ……!| |ホクサイ|おおっと、結構なお金だねぇ。&br;もしかしてキミ、泥棒サン? ボクちゃんの&br;実験台にもらっちゃおうかな~?| |女性従業員|ひっ……! ど、泥棒じゃないわよ!&br;この金は、博士にもらった報酬なんだから!| |ホクサイ|報酬って、なんの?| |女性従業員|実験体よ! 博士好みの人間を&br;雪山で見つけてここに運ぶの。今日は&br;3人分だから額も多かった、それだけ!| |ホクサイ|んー? 実験体なら&br;軍から提供してるはずだけど……&br;アハハ、彼の悪いクセが出ちゃったのかぁ。| |ホクサイ|ボクちゃんもそうだけど、科学者ってのは&br;こだわりがあるからねぇ~。&br;ま、雪山ならバレないだろうしいっか!| |ホクサイ|でもザンネン。“雪の女王”の正体は&br;キミだった、ってわけだね。&br;がっかりだよ~。| |女性従業員|と、とにかく!&br;私は何も悪いことなんかしてないんだから、&br;文句なら博士に言ってよ!| |ホクサイ|──ってことがあったんだよ~。&br;でも、変なんだよね~。| |ホクサイ|博士も彼女も、実験体は「3人」って&br;言ってたのに、確認したら&br;1体しか見つからなかったんだってさ~。| |ホクサイ|もしかしたら本物の“雪の女王”が&br;いるのかも……アハハハ!| |ライク♥ツー|雪の女王なんているわけないし……&br;つまり、逃げた実験体が&br;地下のどこかに潜んでるかもってことね。| |ラブ★ワン|この施設の存在って、部外者に&br;知られるのはマズイんだったよね。&br;どーする? ライたん。| |ライク♥ツー|はぁ……面倒だけど、休日出勤確定かぁ。&br;そいつら、ちゃちゃっと見つけて&br;始末しちゃおー。| #endregion //------------------------------ **第5話 地下での邂逅 [#episode5] #region(ネタバレ注意) |マフムト|うむ、誰もいないようだ。&br;……アリ・パシャ、こちらへ。| |アリ・パシャ|ハァ……ハァ……わかっている。&br;妙に人気はないくせに、部屋数は&br;やたら多いな。どこかに潜んでいるのか?| |アリ・パシャ|エセンを探すにしても……くっ……&br;“ハズレ”を引いて&br;敵に出くわすと厄介だぞ。| |マフムト|む……それもそうだね。&br;その怪我では、アリ・パシャは&br;満足に戦えぬだろうし……。| |マフムト|……そうだ。余の怪我はまだ軽い方だから、&br;余がエセンを探して共に外へ出るとしよう。| |マフムト|君は先に出て、&br;〇〇や恭遠に連絡しておくれ。&br;助けが必要だ、と。| |アリ・パシャ|祈るしか能のない貴様に、&br;この場を任せておけるならそうするがな。&br;……っ、おい、隠れろ!| |兵士|おい、見つかったか?&br;地下だけでなく上階の捜索も行え!| |マフムト|あれは……世界帝軍の兵士か。&br;ううむ……これはいけない。&br;この状態の我らだけでは……。| |アリ・パシャ|……っ、やむを得ん。ここで2人共&br;倒れてはどうしようもない。&br;まずは脱出して態勢を立て直すぞ。| |アリ・パシャ|奴らは今『地下』と言っていたな。&br;ならば、地上へ出る階段は──あれか。&br;くっ……おい、さっさと行くぞ!| |???|はーい、そこまで。&br;順番に始末してあげるから、&br;あんまりうろちょろしないでくれる?| |アリ・パシャ|……! 何だ、貴様は!| |ライク♥ツー|これから死ぬ奴に&br;名乗る必要なんてないでしょ。&br;……あれ、殺さない方がいいんだっけ。| |ライク♥ツー|まあいっか。実験体なんて&br;いくらでも用意できるし。&br;ってわけで、バイバーイ。| |アリ・パシャ|……っく!| |マフムト|うぐっ……!&br;アリ・パシャよ、扉まで走るぞ!| |ライク♥ツー|ったく、逃げんなっつってんだろ!&br;ちゃんとトドメさせないじゃん!| |ライク♥ツー|うわっ……何この吹雪!&br;こんなとこいたら、銃と皮膚が&br;張り付いちゃうっての……!| |ライク♥ツー|雪山装備にチェンジしてから追うかー。&br;でも、何発か撃ち込んだし、&br;この寒さならあいつらも死ぬでしょ。| |ライク♥ツー|あとで一応、&br;兵士に死体確認させればいっかぁ。| |アリ・パシャ|くっ……、足が動かん……!&br;クソッ……血を流しすぎ、た……。| ||──ドサッ!| |マフムト|アリ・パシャ……!&br;う……、余も……あまりに&br;深手を負ってしまった、よう……だ、な。| ||──ドサッ!| |マフムト|ああ、もはや……奴らより先に……&br;皆が来ることを、祈ること、しか……。| |マフムト|……余の髪と服が……&br;白くて、よかった、なぁ……。| |マフムト|雪に紛れて、&br;同朋(とも)を、守れ……る……。| #endregion //------------------------------ **第6話 反撃の狼煙 [#episode6] #region(ネタバレ注意) |アリ・パシャ|……む、&br;……う……ここ、は……。| &attachref(./第6話 反撃の狼煙.jpg,zoom,第6話 反撃の狼煙,259x200); |フルサト|アラ、目が覚めたのネ!&br;よかったわァ!| |アリ・パシャ|なっ……フルサトにキンベエ……!?&br;〇〇まで……!| |キンベエ|疲れたときには、&br;美味いもんを食うのが一番だ。&br;さあ、熱いから気を付けろよ。| |アリ・パシャ|な、なんなんだ、これは……。| |フルサト|コレは焼いたお餅♪&br;お正月のあまりで作ったのヨ~。&br;さ、アリ・パシャちゃんも食べて♪| |アリ・パシャ|そうではない!&br;おかしい……一体何が起こって……!| |アリ・パシャ|くそ、俺様は夢でも見ているのか……!?| |フルサト|ノンノン、夢じゃないわ。&br;……マフムトちゃんは、&br;まだ夢の中みたいだケド。| |アリ・パシャ|……状況が掴めん。&br;何がどうなっているのだ。| |フルサト|……ユーたちからの定時連絡がなくて&br;心配してたら、&br;馬車事故の知らせが入ったノ。| |フルサト|3人が見つからないって聞いて、&br;何かあったんだワ、と思って……&br;基地にいたワタシたちが急いで来たのヨ。| |フルサト|どこに敵がいるかわからないカラ、&br;こうして3人で、観光客のフリをしてネ。| |キンベエ|例のホテルの辺りを探っとったら、&br;軍の兵士が見えてなぁ。こりゃあ怪しいと&br;踏んで、近くを見てみたら……| |キンベエ|妙に雪が積もっとるところが&br;あったもんでな。気になって掘ってみたら、&br;お前さんたちがいたってわけだ。| |キンベエ|いやぁ……お前さんはうんともすんとも&br;言わんし、マフムトは銃に&br;戻っておったから、肝が冷えたぞ……。| |マフムト|う……。| |キンベエ|おお、よかった!&br;マフムトも気がついたか!| |マフムト|おや……〇〇、&br;フルサト、それにキンベエも……?&br;そうか……余の祈りが通じたのだね。| |アリ・パシャ|……フン、偶然だ。&br;貴様が祈ったから&br;どうのということではない。| |マフムト|ふふ……何にしても、ありがとう。&br;心から礼を言うよ。| |マフムト|〇〇のおかげで&br;傷もすっかり治った。&br;これなら、エセンを助けにいけそうだ。| |フルサト|やっぱり、エセンちゃんは……。&br;あちこち探したけど、&br;ホテルの中でも外でも見つからなかったノ。| |アリ・パシャ|ああ。奴らの手中にあるか、&br;地下でなんとか逃げおおせているか……。&br;いずれにしても危うい。| |キンベエ|そうか……。&br;では、こいつが役立ちそうだな。| |アリ・パシャ|ん? 何だそれは。……図面か?| |キンベエ|ああ。〇〇が治療しとる間、&br;フルサト殿と手分けして、&br;ホテルの構造を調べとったんだ。| |キンベエ|お前さんらの意識が戻ったら&br;すぐにでも作戦を立てて動けるように、&br;図面に書き起こしたのがこれだ。| |アリ・パシャ|ほう……これは有用だな。&br;地上部分から地下の構造も&br;ある程度推測できるか?| |キンベエ|ああ。お前さんたちも、&br;何か覚えていることがあれば教えてくれ。| |キンベエ|……できたぞ。わしとフルサト殿は、&br;ホテルの横手で騒ぎを起こす。| |フルサト|エセンちゃんを救出しにきたと思わせて、&br;敵を引きつけるのネ。任せて♪| |キンベエ|この作戦は時間が勝負だからな。&br;陽動だと気付かれる前に、&br;エセンを見つけて脱出するのが肝だ。| |キンベエ|重要なものは、一番守りの&br;固い場所にある。わしが思うに──&br;このあたりが怪しい。| |アリ・パシャ|なるほどな。&br;まずはそこに賭けるとしよう。| |アリ・パシャ|……おい、〇〇。&br;お前は以前奴らの基地へ乗り込んだとき、&br;顔を見られている。| |アリ・パシャ|掴まれば今度こそ、みすみす&br;逃されはしないだろう。お前はここで&br;待機して、応援と合流しろ。いいな?| |マフムト|〇〇。エセンを連れて、&br;必ずあなたのところへ戻るよ。| |マフムト|さて……皆、そろそろ行こうか。&br;エセンを取り戻しに。| #endregion //------------------------------ **第7話 凍える心の片隅で [#episode7] #region(ネタバレ注意) |エセン|(……誰かの……話す声…………)| |エセン|(……ここ、は……)| |博士|せっかく3体分の金を払ったというのに、&br;残った実験体は君ひとつか。&br;……まあいい。| |エセン|(……身体が、うご、かない……)| |博士|実験のために用意した麻酔だからな。&br;ピクリとも動けまい。| |博士|さあキミ、観念したまえ。&br;逃げてしまった君の仲間の分まで、&br;役に立ってくれよ?| |エセン|(逃げてしまった……?)| |エセン|(そうか……。アリ・パシャとマフムトは、&br;僕を置いて脱出したのか……)| |エセン|(……当然、だ。&br;弱いものは切り捨てる……&br;僕だって、そうしてきた……)| |エセン|(…………)| |エセン|(……〇〇に渡そうと思っていたペンダント……&br;作りかけだったな……)| |エセン|(あれを渡したら、どんな顔するか……&br;見られないのは、残念、かも……な……)| |博士|ふふふ……&br;君を永遠にしてあげよう。| |マフムト|このあたりは特に見張りが多い。&br;キンベエの読みは正しかったようだ。| |アリ・パシャ|らしいな。と、なれば……&br;施設の最奥は、ここだ!| |兵士|なっ、なんだ、お前たちは!| |アリ・パシャ|ええい、邪魔をするな!| |博士|なんの騒ぎだ!? この大事なときに……。| |兵士|博士! 侵入者が……!| |兵士|ぐあぁっ!| |マフムト|エセン、いるのか!?| |アリ・パシャ|くっ……&br;なんだ、この気味の悪い場所は!| |博士|……お前たち、逃げた実験体か!&br;今さら仲間を助けにきたのか?| |博士|くくっ……だが、もう遅い!&br;見ろ、私の実験は&br;間もなくフィナーレを迎えるのだ!| |アリ・パシャ&マフムト|…………!?| #endregion //------------------------------ **第8話 永久の眠り [#episode8] #region(ネタバレ注意) &attachref(./第8話 永久の眠り.jpg,zoom,第8話 永久の眠り,259x200); |アリ・パシャ|こ、これは……!?| |マフムト|エセン……!?| |博士|はっはっは!&br;あまりの美しさに言葉も出ないようだね!| |アリ・パシャ|貴様っ……何をした!| |博士|まったく、騒々しい。&br;永い眠りにつこうとしている彼を&br;邪魔しないでくれ。| |博士|もっとも……&br;君たちがどんなに騒いだところで、&br;彼が目覚めることはないがね。| |マフムト|なん……だと……!?| |博士|無学な諸君に教えてあげよう。&br;『コールドスリープ』だよ。私の開発した&br;特殊な液体に肉体を浸し──。| |博士|最適な冷温で眠らせることで、&br;いつまでも変わらず美しいまま、&br;彼の肉体を保存することが可能になる!| |マフムト|っ……!| |博士|この液体が完璧に凍ったとき、&br;彼の肉体は永遠になるのだ!| |博士|奇跡の瞬間に、君たちを&br;立ち会わせてあげるのだ!&br;感謝したまえよ? はーっはっはっは!| |アリ・パシャ|……ハッ。この俺様の部下に&br;手を出すとはな……&br;度胸だけは認めてやろう。| |マフムト|しかし……&br;この状態からどうすればよいのだ。| |アリ・パシャ|たわけ。エセンはまだ、&br;貴銃士としての身体を保っているだろう。| |マフムト|……!| |アリ・パシャ|ああ。&br;──今ならまだ間に合う!| #endregion //------------------------------ **第9話 憤怒の鉄槌 [#episode9] #region(ネタバレ注意) |アリ・パシャ|──今ならまだ間に合う!| |博士|なんだと? 完全に永遠の存在に&br;なろうとしている彼を台無しにする気か!?| &attachref(./第9話 憤怒の鉄槌1.jpg,zoom,第9話 憤怒の鉄槌1,259x200); |アリ・パシャ|ハッ……&br;貴様の下らん理想なんぞ知るか!!&br;クソッ、割れろ……!| |博士|無理に決まっている!&br;そのコフィンは強化ガラスで作った&br;特別製で……。| ||──ピキッ!| |博士|なっ……!? や、やめろ!&br;これは繊細な技術なんだ!| |博士|コールドスリープの状態を解くには&br;複雑な段階が……っ!&br;今装置を壊せば彼は死ぬぞ!?| |アリ・パシャ|ふっ……こいつがただの人間なら、&br;あるいはそうかもしれん。| |博士|はっ!? 人間ではないとしたら一体……&br;いや、待てよ。まさかお前たちは、&br;レジスタンスの……!?| |アリ・パシャ|答える義理はない──なっ!| ||──ガシャン!!| |エセン|…………。| |マフムト|エセンや……!&br;ああ、よかった……&br;気を失ってはいるが、ちゃんと息がある。| |博士|くっ……なぜだ、なぜ邪魔をする!| |博士|最も美しい姿で時を止め、&br;永久のものにする……&br;このロマンがわからないのか!?| &attachref(./第9話 憤怒の鉄槌2.jpg,zoom,第9話 憤怒の鉄槌2,259x200); |アリ・パシャ|貴様のような狂った輩の考えなど、&br;わかるわけがないだろう! たわけ!| |マフムト|さあ、この愚かしい実験室は、&br;もう使えなくしてしまおうね。&br;そして、あなたも。| |マフムト|さあ……&br;共に祈ろう、世界の平和を……!| |博士|ぐっ、ぐああああっ!| |アリ・パシャ|……よし。さっさとここから出るぞ。| |マフムト|エセンや、すぐに&br;〇〇のところへ連れて行く。&br;もう少しの辛抱だ……!| #endregion //------------------------------ **第10話 いつかの終わりに思うこと [#episode10] #region(ネタバレ注意) |兵士|報告します!&br;地下施設に侵入者あり! 増援求む!| |ライク♥ツー|はぁ? お兄ちゃんは何やってんの!?| |兵士|そ、それはですね……。| |ライク♥ツー|あー、はいはい。&br;どうせまたジャムったか鼻血か&br;どっちもでしょ。| |ライク♥ツー|ったく、なんか怪しいから、&br;わざわざお兄ちゃんはあっちに&br;置いてきたのに、役に立たないな……!| |ライク♥ツー|こっちのレジスタンスは&br;適当に相手よろしく。&br;たぶん地下の方が本命だから。| |エセン|ん……。あ、れ……?&br;ここ……僕、は……。| |アリ・パシャ|エセン、気がついたか。&br;話はあとだ。まずは地上へ出るぞ。| |エセン|ぼ、僕……す、みませ……。&br;僕……まだできる、ので……。| |アリ・パシャ|チッ……さっきの奴か。&br;おいエセン、謝っている暇があったら&br;足を動かせ。これは命令だ。| |エセン|はい、アリ・パシャ様……&br;ご命令でしたら。| |ライク♥ツー|……っ、いた! 弱いくせにしぶとさだけは&br;人一倍だなー。ま、今度こそ&br;きっちり始末してあげますけど。| |アリ・パシャ|ふ……生憎、こちらは&br;貴様の相手をしているほど暇ではなくてな。| |アリ・パシャ|……おい、早く上がれ。&br;奴が追ってこられぬよう、&br;心銃で階段を破壊するぞ。| |エセン&マフムト|はい……!&br;うむ。| ||(心銃)| |ライク♥ツー|チッ……!&br;おい! 逃げんなよてめえら!| |アリ・パシャ|最後に一つ忠告しておいてやろう。&br;世界帝の世は、いずれ終わる。&br;──俺様が終わらせてやる。| |ライク♥ツー|は……はあ!?| |アリ・パシャ|今のうちに、&br;せいぜい楽しんでおくことだな。| |ライク♥ツー|ゴ、ゴミクズの癖に……&br;何言っちゃってんの、あいつら……。| |ライク♥ツー|あの人の世が終わるなんて、&br;あるわけないじゃん……。| |ラブ★ワン|ライたん!&br;すんごい音したけど、だいじょーぶ!?| |ライク♥ツー|…………。| |ラブ★ワン|おーい、ライたん? もしもーし!?| |ライク♥ツー|……うるさいなぁ。&br;大丈夫だから、ちょっと黙ってて……。| |ラブ★ワン|んー……?| #endregion //------------------------------ **第11話 戻るべき場所 [#episode11] #region(ネタバレ注意) |キンベエ|いやぁ……ひとまずなんとかなって、&br;良かったのぉ。| |フルサト|〇〇、体調はダイジョウブ?&br;エセンちゃんの治療が終わったら、&br;しばらくここで休みまショ。| |フルサト|ヒミツの隠れ家だから、&br;安心してゆっくりネ♪| |エセン|…………。| |エセン|〇〇、ありがとうございます。&br;もう、どこも悪くありません。| |エセン|あの……皆さん、申し訳ありませんでした。&br;ご迷惑をお掛けしてしまって……。| |キンベエ|何を言っとる! 馬車事故といい、&br;妙な研究者といい、&br;お前さんは災難に巻き込まれただけだ。| |フルサト|〇〇と金チャンの言う通りヨ!&br;エセンちゃんは、&br;助けが来るまでよく頑張ったワ。| |エセン|あ、ありがとうございます……。| |エセン|あの……アリ・パシャ様は、&br;どうして僕を助けたんですか?| |アリ・パシャ|……なんだと?| |エセン|状況はどうあれ、敵に捕まって&br;実験材料にされるなんて……&br;大きな失態です。| |エセン|僕はあの状況をひとりで&br;切り抜けられるほどの力を&br;持たなかった……。| |エセン|強いものが生き残り、弱きは朽ちる。&br;それがあなたの考えなのに、なぜ、と……。| |アリ・パシャ|ふん……簡単なことだ。お前が&br;貴銃士だと敵に知れて人質にされれば、&br;どんな厄介な要求をされるか。| |アリ・パシャ|愚かな〇〇は、&br;分の悪い交渉にも応じかねんからな。| |アリ・パシャ|〇〇は&br;俺様の野望の実現のために必要な存在だ。&br;失うわけにはいかん。| |アリ・パシャ|それに、キンベエの言う通り、&br;今回は不運が重なった。| |アリ・パシャ|そこは、お前の能力とは切り離して&br;評価すべきだ。俺様はお前にまだ&br;利用価値があると判断した。それだけだ。| |エセン|……そう、ですか。| |マフムト|ふふ……アリ・パシャは物事を&br;難しく考えすぎるきらいがあるのだね。| |マフムト|エセンは我が同朋、大切な仲間だ。&br;それを救うのに、特別な理由は要るまい。| |アリ・パシャ|……ふん……。| |エセン|…………。| |エセン|〇〇。&br;あの……基地に戻ったら、&br;衛生室に行ってもいいですか。| |エセン|あ、いえ。怪我はもう全部治っているので&br;大丈夫です。そうではなくて……。| |エセン|少し、渡したいものがあって。&br;温かい飲み物と一緒に、持っていきますね。| #endregion データ参照プラグイン 入力支援ツールを表示 ▼参照先ページ選択:データを表示 元データの書式(インラインプラグイン)を継承する