&embed(31);
**第1話 サンタクロースへの手紙 [#episode1]
#region(ネタバレ注意)
|ドライゼ|ただいま戻った。&br;……ああ、マスター。土産があるぞ。&br;夕食後に皆で食べるとしよう。|
|ケンタッキー|ん? なんだその白いの。&br;……パン?|
|ドライゼ|これはシュトレンという菓子パンだ。&br;バイト先の店主にもらったものでな。|
|ドライゼ|俺の祖国では、クリスマスの時期になると&br;これを食べるんだ。|
|スプリング&&br;ケンタッキー|…………ク、クリスマス!?!?|
|ケンタッキー|あ、マスターすんません!&br;いきなりデケェ声出したりして……。|
|ケンタッキー|でも……俺としたことが、クリスマスを&br;すっかり忘れてたなんて……っ!&br;不覚っス……。|
|スプリングフィールド|俺もだよ、ケンちゃん……。&br;最近バタバタしてて、日付の感覚が&br;ちょっと薄くなってたかも……。|
|スプリングフィールド|だ、だけどまだ間に合うよ!&br;これから急いで準備して、&br;基地の皆でクリスマスパーティーしよ!|
|ケンタッキー|おう!&br;そうと決まれば、早く準備しようぜ!&br;マスターは食いモン、何がいいっすか?|
|ケンタッキー|クリスマスっつったら&br;やっぱりターキーっすけど……。&br;肉だしデカいし、高そうっスよね……。|
|ドライゼ|それなら、クリスマスマーケットで&br;働いてみてはどうだろうか。|
|ドライゼ|クリスマスは2日後……&br;24日にはマーケットが閉まるから、&br;明日は最後の大賑わいになるぞ。|
|ケンタッキー|おお……その分、働き手も必要ってことか!&br;ナイスアイディア!|
|ケンタッキー|マスター! 自分、ガッツリ稼いで&br;美味いターキー買ってくるんで!&br;楽しみにしててくださいっす!|
|アリ・パシャ|――クリスマスマーケット、か。&br;ふっ……浮かれた奴らほどぺらぺら喋る。&br;情報を得るにはいい機会か。|
|アリ・パシャ|……エセン、来い。話は聞いていたな?|
|エセン|はい、アリ・パシャ様。&br;彼らと同じ方法で、&br;マーケットに潜り込むことにします。|
|ノエル|ねえ、ニコラ。&br;サンタさんって、本当にいると思う……?|
|ニコラ|空飛ぶソリで世界中の子供に&br;プレゼントを届けるとか、怪しいけど……&br;もしいるなら、見てみたいかも……。|
|ナポレオン|むむ?&br;わが愛しのピストルたちは、&br;サンタクロースに会いたいのかね?|
|ナポレオン|よろしい。&br;ならば、サンタへ手紙を書くといいぞっ!&br;欲しいものと名前を忘れずにな!|
|ニコラ|はい、陛下……!&br;ねえ、ノエル。一緒にお手紙書こうよ。|
|ノエル|うん……&br;手紙を書いて、サンタをおびき出すんだね。&br;手紙の近くに、罠を仕掛けなくちゃ……。|
|ニコラ|ふふふ……&br;まずは泳がせるのもありだと思うな。&br;尾行してサンタの基地を見つけちゃおうよ!|
|ニコラ&ノエル|ふっふっふ…………。|
|ケイン|クリスマスにサンタクロースですか。&br;皆さん、素敵なお話をされていますね。|
|ケイン|カトラリーさんとキセルさんはもう、&br;お手紙を書きましたか?&br;まだでしたら、こちらをどうぞ。|
|キセル|わぁ……!&br;今、どこからレターセット出したの……!?&br;ケインさんの手品、すごい、なぁ……!|
|ケイン|お褒めに与り光栄です。&br;さあ、カトラリーさんも遠慮なさらず。|
|カトラリー|え……僕はいいよ。&br;どうせサンタクロースなんていないし、&br;子供じゃあるまいし……。|
|キセル|え、と……そう、なの……?|
|ケイン|さて、どうでしょう。我々貴銃士も&br;こうして実在しているのですから、&br;ありえない話ではないのでは?|
|カトラリー|それは、まあ……&br;確かに、そうかもしれないけど。|
|カトラリー|……手紙ってどうやって書けばいいんだろ。&br;えっと……&br;『サンタクロースへ。クリスマスには――』|
|カトラリー|…………何やってんだろ、僕。&br;バカバカし……。|
|カトラリー|せっかくケインさんがくれた便箋だけど……&br;誰かに見られる前に、捨てとこ。|
#endregion
//------------------------------
**第2話 イヴ前夜の作戦 [#episode2]
#region(ネタバレ注意)
|タバティエール|お、カトラリーくん。君も作戦に行くのか?&br;明日からクリスマスだってのに、&br;お互いついてねぇなあ。|
|ケイン|カトラリーさん、やはり私が……。|
|カトラリー|ううん。ケインさんは、街の子供たちに&br;マジックを見せに行ってあげるんでしょ。&br;ホールから聞いたよ。|
|カトラリー|僕は別に、クリスマスの準備とか&br;必要ないからさ。気にしないで。&br;……それじゃ、行ってくるよ。|
|タバティエール|ま、なるべく早く帰れるように&br;頑張ってくるぜ。じゃあな。|
|89|ううっ、さみぃ……こんな日に任務とか、&br;マジやってらんねぇわ。|
|ホクサイ|そぉんな寒がりさんには……じゃじゃーん!&br;ボクちゃん特製、&br;あつあつボム3号をプレゼント!|
|89|なんだよ、その青い玉。&br;テニスボールか?|
|ホクサイ|Nein!&br;この中には、ボクちゃんが開発した&br;特殊な薬剤が入っていてね~。|
|ホクサイ|シャカシャカっと振るだけで~あら不思議!&br;あっという間に熱々になるのさ!&br;これで体もぽっかぽか!|
|ホクサイ|まだ試作品段階だから、&br;たまーに化学反応が過剰になって&br;爆発しちゃうんだけどね~。アハハハ!|
|89|いや、笑えねえし……。&br;もっとまともなモンくれよ……。|
|兵士A|……ん?&br;おい、向こうに誰かいないか?|
|兵士B|住人か?&br;……いや、こんな廃墟の街に&br;人なんかいるわけないよな。|
|兵士A|……あっ! 逃げたぞ!&br;止まれ!!|
|兵士B|いたぞ! こっちだ!|
|カトラリー|はぁ……しつこい奴らだな。&br;悪いけど、また皆に迷惑かけるわけには&br;いかないから――ねっ!|
|兵士A・B|ぐあぁっ……!|
|89|……おい、一体何の騒ぎだ。|
|兵士A|あ、怪しい人影が……&br;追ったところ、で……応戦され……。|
|兵士A|……くっ、敵は、小型の銃を所持……、&br;ナ、イフの……。|
|ホクサイ|あちゃ~、死んじゃったのかい?|
|89|気ィ失っただけだろ。&br;しゃーねぇ、俺たちで逃げたやつ追うか。|
|ホクサイ|はいは~い、了解!|
|89|小型の銃……あと、ナイフっつってたか?&br;そんな話、最近どっかで聞いたような……。&br;……気のせいか。|
#endregion
//------------------------------
**第3話 クリスマスマーケットにて [#episode3]
#region(ネタバレ注意)
|カトラリー|はぁ、はぁっ……!&br;くそっ……しつこいな……。|
|カトラリー|……ん? 向こうの方が明るい……。&br;人が多ければ、紛れられるかも……。|
|カトラリー|なに、ここ……&br;皆が言ってた、&br;クリスマスマーケットってやつかな……。|
|カトラリー|すごいや……。&br;光がキラキラしてる……&br;ごちそうもあんなに……。|
|カトラリー|この人たちはみんな、暖かい家に帰って……&br;家族みんなで&br;あのごちそうを食べるのかなぁ……。|
|カトラリー|…………。|
|カトラリー|まあ、僕には関係ない、けどね……&br;そんなことより、&br;ちょっと休まない……と……。|
|カトラリー|はぁ……寒いし、お腹、空いたなぁ……。|
|カトラリー|出発前に、もう少し食べておけば……&br;よかっ、た……。|
&attachref(./第3話 クリスマスマーケットにて.jpg,zoom,第3話 クリスマスマーケットにて,259x200);
|ケンタッキー|今日が最後の売り尽くし!&br;美味しいターキーはいかがっすか~!|
|ケンタッキー|なかなか手に入らない上質なターキー、&br;今買わないと次は来年!&br;買うなら今がチャンスっすよ~!|
|ケンタッキー|おっ、じーさん、ターキー買ってきます?&br;ふたつで! 了解っす!|
|ケンタッキー|お買い上げあざまーっす!&br;いいクリスマスを!|
|店長|おーい!&br;兄ちゃん、ちょっと休憩入っていいぞ!|
|ケンタッキー|っす!&br;……ふぅ、ドライゼの予想通りパネェ忙しさ&br;だな。でも賑わってんのは悪くねぇ!|
|ケンタッキー|給金も弾んでもらえそうだし……へへっ。&br;これでマスターにも美味いターキーを――。|
|犬|ワンッ!|
|ケンタッキー|うおっ!&br;なんだよ、お前もターキー食いてぇのか?|
|犬|ウー……。|
|ケンタッキー|ん? 違うのか。&br;――って、うわっ!|
|ケンタッキー|おい、引っ張んなって!&br;なんだよ、ついてこいってか!?&br;わかったから一回離せって!|
|ケンタッキー|……よーしよし、いい子だ。&br;んで、どこに行きゃあいいんだ?|
|犬|ワンワンッ!|
|ケンタッキー|路地裏?&br;そんなとこ何もねーだろ?|
|ケンタッキー|……っ!&br;あれは……!|
#endregion
//------------------------------
**第4話 やさしい温もり [#episode4]
#region(ネタバレ注意)
|ケンタッキー|おい、カトラリー! 大丈夫か!?&br;何があったんだよ!?|
|カトラリー|う……お、お腹……空いた……。|
|ケンタッキー|よし、わかった! とりあえずこれ食え!&br;売りモンだけど……あの店長なら、&br;話せばわかってくれんだろ!|
|カトラリー|……あ、ありがと……。|
|カトラリー|ふぅ……もう大丈夫。&br;悪かったね、迷惑かけて。|
|ケンタッキー|別に迷惑じゃねーよ。&br;それより、こんなとこで雪に埋もれて&br;何してたんだ?|
|カトラリー|な、何してたっていうか……&br;敵と鉢合わせて、ここまで逃げてきたんだ。|
||それで……その、ちょっと休むつもりが、&br;いつの間にか倒れてた……みたい。|
||僕のことより、あんたは戻らなくていいの?&br;その格好……&br;マーケットで働いてるんでしょ?|
|カトラリー|それで……その、ちょっと休むつもりが、&br;いつの間にか倒れてた……みたい。|
|カトラリー|僕のことより、あんたは戻らなくていいの?&br;その格好……&br;マーケットで働いてるんでしょ?|
|ケンタッキー|あっ、やっべ!&br;俺は戻るけど、&br;カトラリーもとりあえずついて来いよ。|
||あいつはもうすぐバイト上がるはずだから、&br;一緒に待ってろ。|
|ケンタッキー|あいつはもうすぐバイト上がるはずだから、&br;一緒に待ってろ。|
|カトラリー|あいつ……?|
&attachref(./第4話 やさしい温もり.jpg,zoom,第4話 やさしい温もり,259x200);
|エセン|ケンタッキーさん……&br;どこ行ってたんですか?&br;店長が探して……おや。|
|ケンタッキー|オレ、店長んとこ顔出してくっから!&br;こいつになんか温かいモンやっといてくれ!|
|エセン|え、ちょっ……。&br;はぁ……あの人もあんまり&br;人の話聞きませんよね。|
||それで……あなたはなぜこの街に?&br;顔色が真っ青ですし……&br;作戦で何かあったんですか。|
|エセン|それで……あなたはなぜこの街に?&br;顔色が真っ青ですし……&br;作戦で何かあったんですか。|
|カトラリー|……ちょっと、ね。|
|エセン|…………。&br;とりあえず、ここに座ってください。&br;すぐに戻ってきますから。|
||はい、どうぞ。&br;熱いので気をつけてくださいね。|
|エセン|はい、どうぞ。&br;熱いので気をつけてくださいね。|
|カトラリー|あ、ありがと……。&br;ん、美味しい。|
|エセン|ホットアップルドリンクだそうですよ。&br;クリスマスの時期によく飲まれるのだとか。|
|カトラリー|ふぅん……。&br;エセンも、クリスマス準備のために&br;働いてるわけ?|
|エセン|いいえ。僕はアリ・パシャの命令で&br;街の様子を見に来ただけです。&br;……じゃなきゃ、こんな格好してません。|
|カトラリー|……そうまでして&br;偵察するほどのものじゃないよ、&br;クリスマスなんて。|
||僕にとっても、あんたにとっても……&br;ただの12月の2日間、ってだけじゃん。|
|カトラリー|僕にとっても、あんたにとっても……&br;ただの12月の2日間、ってだけじゃん。|
|エセン|……まあ、それもそうですね。|
|カトラリー|でも……ホットアップルドリンク、だっけ?&br;この飲み物は悪くない……かな。|
#endregion
//------------------------------
**第5話 逆転勝利 [#episode5]
#region(ネタバレ注意)
|89|チッ……雪が強すぎて&br;足跡も追えねぇじゃねーかよ。&br;クソさみぃしだりぃ……。|
|ホクサイ|んー、闇雲に歩いてもムダだよねぇ。&br;ボクちゃん帰って実験の続きしたいし……&br;もういっか!|
|89|さんせー。とっとと帰ろうぜ。|
|ホクサイ|……おお?&br;向こうがなんか賑わってるみたいだねぇ。&br;89クン、帰る前にちょっと行ってみよ~!|
|ホクサイ|わぁ! いい感じ!&br;でも、暖色が多いのがマイナス点だねぇ。&br;やっぱりプルシアンブルーじゃなきゃ!|
|89|…………そうか。&br;明日はクリスマス・イヴ…………。|
|ホクサイ|おやおや~?&br;どうしたんだい、89クン。|
|89|なんでもねぇよ。|
|89|……うおっ!|
|女性|きゃっ! ごめんなさい!&br;お怪我はないかしら?|
|89|お、おう……&br;これくらいどうってことな――|
|男性|おっと! My Sweetheart、大丈夫かい?&br;ほら、しっかり僕の腕に掴まって。&br;転んだりしないように、ね?|
|女性|うふふっ、ありがとう。&br;Darlingだーい好き♡|
|89|…………。|
|89|くそっ……、これだから嫌なんだよ&br;何がクリスマスだよ……!&br;リア充は全員死ね……リア銃も死ね……!|
|ミカエル|聖夜を目前に怨嗟の声とは、&br;あまり穏やかではないね。|
|ホクサイ|おやぁ!? ミカエルクン!&br;こんなところで奇遇だねぇ。&br;どうしたんだい?|
|ミカエル|クリスマスのオーナメントを&br;見繕いに来たんだ。マスターに捧げる&br;ピアノ・レセプションのためにね。|
|ミカエル|会場も美しくムーディーに演出すれば、&br;あの方もより楽しめるはずだろう?|
|89|へぇ……なんか洒落たことやるんだな。|
|ミカエル|そうそう……&br;これは、君たちへの招待状だよ。&br;はい、89。ホクサイ。|
|89|えっ……! い、いいのかよ!?&br;うぉ、やべえ……&br;クリスマスにピアノの演奏会とか……!|
|ホクサイ|ミカエルクンのピアノかぁ。&br;ゆっくり聴くのは久しぶりだから、&br;楽しみだよ~。|
|89|……っし! 明日のためにも、&br;逃げたヤツさっさと捕まえっか!|
|ホクサイ|おっ、いきなりやる気だねぇ。&br;んじゃ、この辺りも探してみよっか。&br;レッツゴー!|
#endregion
//------------------------------
**第6話 不思議な出会い [#episode6]
#region(ネタバレ注意)
|ケンタッキー|よっしゃあ!&br;バイトの特別割引でターキー買えたぜ!|
|エセン|お疲れ様です。&br;そろそろ基地に戻りましょうか。|
|ケンタッキー|おう! お前ももう行けそうか?|
|カトラリー|うん、大丈夫。&br;作戦に参加してた皆が探してるかも……&br;早く帰らないと。|
|エセン|……しっ! 静かに。|
|兵士A|逃亡犯は性別不詳、小柄で小型の銃と&br;ナイフを所持している模様!&br;この付近に潜んでいないか徹底的に探せ!|
|兵士B|はっ! 了解しました!|
|カトラリー|銃にナイフ……? たぶん、僕のことだ。&br;……あ、やば。&br;ちょっと返り血付いてる……。|
|ケンタッキー|おいおい……とりあえず拭いとけ。&br;ほい、ターキーのナプキンやるよ。|
|エセン|顔は見られていないみたいですけど……&br;不味いですね。&br;どこかに隠れないと……。|
|ケンタッキー|やべ、あいつらこっちに来るぞ!&br;どっか、適当な店に……!|
|カトラリー|どこでもいいよ!&br;……よし、ここ!&br;ほら、ふたりとも急いで!|
|???|おや、いらっしゃい。|
|エセン|ここは……おもちゃ屋ですか?|
|???|いやいや。ここは私の――&br;『サンタクロースの家』だよ。&br;いい子にしか見つけられない、秘密の家さ。|
|ケンタッキー|サ、サンタクロースの家!?|
|ケンタッキー|ってことは、あんた……&br;本物のサンタクロースか!?&br;うおお……マジでいたんだな!|
|エセン|へぇ……本物かどうかはさておき、&br;面白い場所ですね。|
|エセン|外から見るより、中がかなり広いような……&br;どういう構造なんでしょう。|
|カトラリー|ふぅん……おじさんはけっこう&br;本物っぽいんだね。その髭も、&br;取ってつけたようなものじゃないし。|
|サンタクロース|ホッホッホッ……なんせ私は本物だからね。&br;もちろん、この自慢の髭も本物さ。|
|カトラリー|……っていうか、&br;さっきから何ゴソゴソしてるわけ?|
|サンタクロース|新しいお客さんが来るから、その準備さ。&br;……ほら、通りを歩いている彼らだよ。|
|ケンタッキー|えっ、……まさか、世界帝軍の奴らか!?|
#endregion
//------------------------------
**第7話 素敵な贈り物 [#episode7]
#region(ネタバレ注意)
|ノエル|この家が怪しいね……ニコラ。|
|ニコラ|うん……怪しい! プレゼントが&br;山積みになってるのが見えるもん。|
|ニコラ&ノエル|お、おじゃましまーす……。|
|ニコラ|わっ!&br;なんでお前たちがいるんだよ……!|
|ケンタッキー|ニコラとノエルかよ!&br;俺たちは……まあ、色々あってな。|
|ケンタッキー|お前らこそ、どうしたんだ?&br;その恰好……気合入ってんじゃねーか!|
|ニコラ|これ? ふふん、陛下にいただいたんだ!&br;サンタのお手伝いをする、&br;妖精の格好なんだって。|
|ノエル|これなら、サンタクロースを尾行しても&br;怪しまれない……&br;陛下って、やっぱり天才だよね……!|
|エセン|……その様子だと、&br;世界帝軍には遭遇しなかったみたいですね。|
|ニコラ|え、世界帝軍がいるの?&br;ぼくたちは見てないけど……。|
|カトラリー|捜索場所を変えたのかな。&br;そこのおじいさんが言うには、この家は&br;『いい子』にしか見つからないらしいし。|
|ノエル|あの……おじいさんは&br;本当に、サンタクロースなの……?|
|ニコラ|本物のサンタなら……&br;ぼくたちが欲しいものを当ててみせてよ!|
|ノエル|でも、ニコラ……&br;ぼくたちのお手紙はまだ基地に……。|
|サンタクロース|ふむ、ノエルくんが欲しがっていたのは……&br;『皇帝の指揮と戦術』、&br;この本じゃないかな?|
|ノエル|ひぇっ……!|
|サンタクロース|そしてニコラくんは&br;『最も効果的な罠100選・屋外編』だね。&br;絶版本だから、大切にするんだよ。|
|ニコラ|ふぇっ……!?&br;な、なんでわかったの……?|
|サンタクロース|サンタはなんでも知っているんだよ。&br;いい子の欲しいものには、特に詳しいのさ。|
|ノエル|わぁっ……!&br;サンタさんって、本当にいたんだ……&br;すごいね、ニコラ……!|
|ニコラ|陛下にもご報告しなくちゃ!&br;ね、ノエル!|
|カトラリー|……何かトリックでもあるわけ?&br;おじさん、普段書店の店主してるとか、さ。|
|サンタクロース|ホッホッホッ……&br;さて、君はカトラリーくんだね。&br;君へのプレゼントは……あった。これだよ。|
|カトラリー|えっ……羅針盤……!?&br;そんな、どうして?&br;手紙は捨てたはずなのに……。|
|サンタクロース|おや、そうなのかい?&br;でも、私のリストには確かに……&br;どれどれ……。|
|サンタクロース|……うむ、やはり手紙は届いているよ。&br;送り主は、キセルくんとケインくん。|
|カトラリー|えっ、キセルさんとケインさんがなんで……&br;――あっ!&br;もしかして、あの手紙を……!?|
|サンタクロース|ホッホッホッ……&br;君は、仲間に恵まれているね。|
|サンタクロース|……さぁて、&br;そろそろプレゼントを配る時間だ。&br;みんな、準備を手伝ってくれるかい?|
|全員|うん。でも、準備……って?|
#endregion
//------------------------------
**第8話 同郷の集い? [#episode8]
#region(ネタバレ注意)
|ミカエル|純白のモールに、&br;血のように赤い薔薇の飾りを。|
|ミカエル|……ふむ。これは質が良さそうだね。&br;あるだけもらおうか。|
|クニトモ|はーい、まいどおおきに!|
|兵士A|支払いはこちらで。&br;買った品は急ぎまとめてくれ。|
|クニトモ|お代、確かにいただきました。&br;荷物はそこのトラックに載せときますわ~!|
|ホクサイ|ねえ、ミカエルクン。&br;レセプションではどんな曲を弾くんだい?|
|ミカエル|バッハとのリクエストだよ。&br;クリスマスの定番だからね。|
|89|はぁーぁ、ダメだわ。見つかんねー。&br;つか、この寒さで&br;どっかで凍え死んでねーかな。|
|89|……割とありえる話だよな。&br;よし、そういうことにしとくか。|
|ホクサイ|おやおや、89クン、結局諦めるのかい?|
|89|ああ。……くそ、やってられっかよ。&br;どこもかしこもムカつくカップルが&br;いちゃつきやがって……。|
|89|おかげで俺のライフがガンガン削れて……&br;……あ?|
|クニトモ|いらっしゃいませ~、&br;お客さんも何かお探しです?|
|89|あんた……。日本人か?&br;珍しいな。|
|クニトモ|あ、あはは、よお言われます~。|
|89|こっちに住んでるのか?&br;それとも――。|
|ミカエル|89? 買い物は済んだ。&br;僕たちはそろそろ城へ戻るけれど……&br;君はまだ残るかい?|
|89|うおっ……&br;ちょ、待て、俺も帰るっての……!|
|クニトモ|…………。|
|クニトモ|いいいい今のガスマスク……&br;もしかせんでも現代銃の貴銃士やんなぁ!?|
|クニトモ|うわぁ~ボクが貴銃士やて&br;バレてへんよなぁ?&br;はぁ~ヒヤヒヤしたわ……。|
#endregion
//------------------------------
**第9話 安らぎは君の隣に [#episode9]
#region(ネタバレ注意)
|ケンタッキー|サンタの手伝いって……&br;ただの荷物持ちかよ!|
|ニコラ|おいケンタッキー!&br;文句言ってる暇があったら、&br;ぼくらを手伝えよな!|
|ノエル|サンタさん……少し痩せたら?&br;おしりを押してもらわないと&br;屋根に登れないなんて……。|
|エセン|もう、ここにソリを持ってきたらどうです?&br;大量のプレゼントを&br;屋根の上に運ぶ手間も省けますし。|
|サンタクロース|ホッホッホッ……すまないねえ。&br;うんと高いところに登らないと、&br;ソリが呼べないのさ。|
|サンタクロース|それに……これでも、&br;プレゼントは減った方なんだがねぇ。|
|ニコラ|どうして? いい子が減っちゃったの?|
|サンタクロース|いいや、いい子は世界中にたくさんいたさ。&br;だけど……あの戦争で、&br;愛し子たちも随分減ってしまった。|
|カトラリー|……僕の大切な人も、&br;故郷と家族を奪われた……って言ってたよ。|
|サンタクロース|うむ……だが、そんな時代だからこそ。&br;クリスマスの日には、&br;喜びや温かな心を思い出してほしい……。|
|サンタクロース|これからを生きる子供たちが、&br;そういう気持ちを抱けるように……&br;私も頑張らないとね。|
|カトラリー|温かな、心……。|
|サンタクロース|さあ、もうすぐ屋根の上だ。&br;ごらん、もうトナカイが来ているよ。|
|サンタクロース|みんな、ここまでありがとう。&br;――メリークリスマス!|
&attachref(アルバム/イベント/第9話 安らぎは君の隣に.jpg,zoom,第9話 安らぎは君の隣に,259x200);
|カトラリー|わあっ……!|
|ケンタッキー|うおっ、すっげー!&br;高いところから見ると、&br;街がキラキラしててキレーだな!|
|ニコラ|ノエル、&br;サンタさんが急にいなくなっちゃった!|
|ノエル|……あ、あれ!&br;ニコラ、お空を見て……!|
|サンタクロース|はっはっは!&br;手伝ってくれたお礼に、&br;君たちにもプレゼントをあげよう。|
|サンタクロース|カトラリーくんに預けた袋から、&br;みんなの大切な人の分を持っていきなさい。&br;……では、良いクリスマスを!|
|ケンタッキー|サンタのおっさん、太っ腹じゃーん!&br;ここから、好きに選んでいいのかよ!|
|ケンタッキー|んじゃ、俺たちからマスターにこれ!&br;それからこれは、&br;ペンシルヴァニアの兄貴とスーちんの分!|
|ケンタッキー|……一応、クソダサマスケットにもやるか。&br;あとシャルルヴィルにも。|
|エセン|アリ・パシャと、マフムトと……&br;賄賂がわりに、&br;ナポレオンにも渡しておきましょうか。|
|ニコラ|あっ、ずるいぞ!&br;陛下へのプレゼントは、&br;ぼくたちが選ぶんだからな!|
|ノエル|陛下の分と……&br;ラップにも渡して、恩でも売っておく?|
|カトラリー|それじゃあ僕は、&br;ケインさんと、キセルと……。|
|カトラリー|ひげのおっさんにもあげないと、&br;かわいそう……かも?&br;それに……。|
|カトラリー|…………。|
|ケンタッキー|ん? どしたよ?|
|カトラリー|なんでもないよ、&br;……ちょっと、びっくりしただけ。|
|カトラリー|僕にもいつの間にか……&br;プレゼントをあげたい相手が、&br;たくさんできてたんだなあって。|
#endregion
//------------------------------
**第10話 一足早いプレゼント [#episode10]
#region(ネタバレ注意)
|キセル|カ、カトラリーくん! よかったぁ……!&br;帰りが遅いから、心配してたんだ……。|
|タバティエール|外は寒かったろ。&br;熱々のコーンスープあるぜ。&br;皆、これでも飲んで暖まりな。|
|カトラリー|コーンスープ……&br;ありがと、タバティエール。|
|ケイン|作戦で何かトラブルでも&br;あったのかと思いましたが……&br;何事もありませんでしたか?|
|カトラリー|えーっと、ちょっと危なかったけど……&br;大したことはないよ。|
|カトラリー|遅くなったのは、街でサンタクロースの&br;手伝いしてたからなんだ。|
|キセル|えっ、サンタクロース……!?&br;カトラリーくん、&br;サンタさんに会った、の……?|
|カトラリー|うん、たぶん本物の、ね。&br;……あ、そうだ。キセルとケインさん、&br;僕の手紙見たでしょ。|
|ケイン|あっ……その、申し訳ありません。&br;部屋の掃除をしている時に見つけて、&br;どうしても放っておけず……。|
|カトラリー|あ、ううん、責めてるんじゃないんだ。&br;……その、ありがとう。|
|カトラリー|サンタさんにプレゼントを&br;もらえたこともだけど……&br;何より、ふたちの気持ちが嬉しい。|
|キセル&ケイン|…………!|
|ケンタッキー|スーちん!&br;ケンタッキーサンタからのプレゼントだぜ!&br;本物のサンタからもらったやつ、な!|
|スプリングフィールド|わぁ~! ケンちゃんありがとう!&br;サンタさんに会えたの!? いいなぁ~!|
|ケンタッキー|へへっ!&br;来年はスーちんも会えるといいな!|
|クニトモ|あっ、君らも大丈夫やった?&br;クリスマスマーケットに&br;世界帝軍おったやんかぁ。|
|エセン|ご心配なく。&br;サンタの家に隠れて事なきを得ましたので。|
|アリ・パシャ|サンタの家だと?|
|エセン|はい、アリ・パシャ様。&br;その件で、ちょっとした報告が……。|
|アリ・パシャ|いや、あとで部屋で聞こう。&br;有益な情報を漏らすわけにはいかんからな。|
|エセン|そうですか。&br;では……これをどうぞ。|
|アリ・パシャ|なんだこれは。&br;買い物を頼んだ覚えはないが……。|
|エセン|クリスマスプレゼントです。&br;一応、僕が選びました。|
|アリ・パシャ|……ほう、そうか。&br;殊勝な心掛けだな。|
|エセン|それからこっちは、マフムト様へ。|
|マフムト|おや、ありがとう。&br;……ああ、アリ・パシャとお揃いの品だね。|
|アリ・パシャ|なっ……!|
|アリ・パシャ|おい、エセン!&br;どういうことだ!|
|エセン|…………。|
|ニコラ|ねえ、ノエル。&br;あいつらってば、クリスマスはまだなのに、&br;もうクリスマスプレゼント渡してるよ?|
|ノエル|これだからちゃんと勉強してない大人は……&br;本当は、クリスマスの朝に……だよね。|
|カトラリー|……ねえ、〇〇。&br;これ……お土産。|
|カトラリー|っていうか、サンタさんから……だから、&br;僕が準備したわけじゃないんだけどさ。|
|カトラリー|……えっ?&br;〇〇、僕ら全員に、&br;プレゼントを用意してくれてるの?|
|カトラリー|そんな、気を遣うことないのに。&br;僕はもう、サンタさんからもらったし……。|
|カトラリー|……そっか。僕も少しわかったかも。&br;大切な人にプレゼントを選ぶのって……&br;ちょっとだけ楽しい、から。|
|カトラリー|それに、せっかく用意してもらったものだし&br;……もらっとくよ。|
|カトラリー|その……&br;クリスマスの朝、楽しみにしてる、ね。|
#endregion
//------------------------------